夫はお腹が減ると顔つきが変わってくる。
夫の機嫌の悪さを私と娘は嗅ぎとることが出来る。
このワケの分からない爆発の法則に
気がついたのは一緒になってから2年も
過ぎてからだった。
空腹の限界が来たとき、何が起爆剤となるか
分からないピリピリとした状況になる。
しかし、アスペルガーの息子には
そんな張り詰めた空気を読む事など出来ない。
やがて息子は父親の怒りの導火線に
点火してしまい集中砲火を受ける事になる。
そういえば、息子にもお腹が減ると
ぐずるところがある。
そして息子の食に関する拘りや執念は
普通のそれと明らかに違う。
3歳にして米の違いが分かる男だった。
新米に変えた日は
「お母さん今日のご飯すごく美味しい!」
と言うし少し安い米を買えば
「このお米ちょっと臭いんだけど…」
と誰も分からない米の微妙な違いを言い当てる。
4歳の時、炊きたてご飯を盗み食いした事があった。
それも真ん中を取れば、盗み食いがばれるので
炊飯器の釜の外周をくるりと一周、素手で
食べてしまうのだ。炊きたてご飯を素手で
取ることなど私だって出来ない。
昼からコトコト準備したおかずを目を離した隙に
食べてしまっている事も何度もあった。
「さあ、夕飯だよ。今日は昼から煮込んだ・・・あれ?」
煮込んだはずのおかずが全くないのである。
息子は白いご飯に酷くこだわりがある。
決しておかずで汚されてはならない領域。
白いご飯は白いご飯のまま食べる。
三角食べなど何度言っても出来ない。
ある日は大好物の白いご飯だけ先に食べ終わり
だらだらとおかずをつつく。またある時は
おかずをかき込んで、ゆっくりと味わいながら
白いご飯を食べる。
これは夫も同じくで、白いご飯をこよなく愛する親子は
私の大好きな炊き込みご飯を嫌う。