わたしのおばあちゃん、泰(タイ)さんはわたしのことをとても可愛がってくれていました。



リハビリ中、やっぱり少しおかしなことを話すこともあったのですが、これは「本当に呆けていたのか?」と今でも不思議に思う話。



「おばあちゃん元気ー?」



いつものように病室に入ると



「ようこさま、ようこさま。」



とかわいい声でお迎え。すると突然わたしの手を握り



「ようこさまのよう、は太陽の陽。(わたしは陽子と書きます)その明るい太陽の陽のこざとへんをください。」



・・・。陽の左側についている部首が欲しいらしい。



「えー、欲しいの?いいよー。じゃあおばあちゃんも何か頂戴



するとおばあちゃんは握った手に力を込めて



「さかなへん」



と答えました。さかなへん???



「あれ、タイ子さんのタイは鯛焼きの鯛だっけ??」



おばあちゃんの字はしつこいようですが天下泰平の泰です。・・・が。おばあちゃんは楽しそうにうなずきました。



「そっかー。じゃ、交換だね。」



と、いうことでわたしたちは互いの名前の一部を交換し・・・てませんけどね。実際は。そんな漢字ないしさ。。。



あれは何だったんだろう?おばあちゃんに嵌められたのかしら・・・未だに真相はわかりません。



でも、施設に入ってからもお見舞いに行くと、まわりのおばあちゃん達が(車椅子の集団)



「ダメダメ、話しかけたって返事もしやしないんだから。わからないよ。(余計なお世話)」



と言っても、人がいなくなるとわたしの傍でぼそっと



「うるさいな 全部聞こえてんだよ」



と毒づいたりしていました。「ええっ」と思うんだけど、後は確かにあんまり話さないの。おばあちゃん、天国でもしらばっくれていますか??