【東方神起の新たなる伝説の始まり、日産スタジアム3Days
「ありがとう、そばにいてくれて!」/レポート】~エキサイトミュージックの記事
https://www.excite.co.jp/News/emusic/20180612/E1528798166118.html
(※ 写真10枚~↑トンでください)
アンコールが終わりステージを降りる直前、ユンホは客席に「みんな、We are~」と呼びかけ、大きな声で「T!」といつものように返って来るファンの声を聞くと、「ありがとう、そばにいてくれて!」と笑顔を向けた。
6月8日から10日までの3日間、横浜・日産スタジアムで『東方神起 LIVE TOUR ~Begin Again~ Special Edition in NISSAN STADIUM』を行った東方神起は、本公演でツアー総動員数100万人を達成し、海外アーティストの日本ツアー史上最多動員記録を樹立。
東方神起は兵役のため約2年間、活動を休止していたが、昨年8月に兵役を終えると、11月から今年1月まで17公演で78万人を動員した5大ドームツアー『東方神起 LIVE TOUR ~Begin Again~』を開催。この日産スタジアムはドームツアーの追加公演で、日産スタジアム史上初の3Days開催で22万人を動員している。
彼らにとって日産スタジアムでのライブは5年ぶり。絶大なる人気を誇り、次々と記録を打ち立てていく東方神起だが、最後のMCで「みなさんのおかげ様で、ステキな時間が過ごせました。日産スタジアムには2度と戻れない気がしてたけれど、足りない二人を(みなさんが)引っぱってくださったからここまで来れた。"おかげ様"という言葉を使ったけれど、いつも影のように側にいてくれて、支えてくださっているみなさんにピッタリな言葉。これからも一緒に、もっともっと上を目指し、一緒に歩んで行きたいと思います」(ユンホ)、「5年前の日産スタジアムが、最初で最後だと思っていました。みなさんのおかげで、またこのステージに立てました。また立てるでしょうか? 今年で最後にしたくない! 東方神起の大切なビギさん(ファン)に、いつも感謝しています。何があっても頼り合う仲でいてください」(チャンミン)と、ファンへの感謝が綴られた。
年のブランクは、東方神起にとっても大きな不安だっただろう。しかし彼らは、ファンの期待を裏切らないカッコよさで再び目の前に現れてくれた。5大ドームツアーは、「2年後、おかえりという言葉で迎えてください」と言って兵役に就いた彼らへ、「おかえり」と言う約束を果たす場所だった。そしてこの日産スタジアム3Daysは、東方神起がさらなる高みを目指すための、約束の地となった。『Begin Again』……、東方神起は、このツアーのエンブレムでもある双頭のフェニックスのように、再び大きく羽ばたき始めた。
エキサイトミュージックがうかがったのは、公演2日目の6月9日。関東地方も数日前に梅雨入りしたが、汗ばむほどの天候に恵まれた日。チャンミンが下手、ユンホが上手のビルの5階ほどの高さの場所から登場すると、そのままメインステージに降り、ムービングステージでバックステージまで移動するオープニングナンバーの「Reboot」。スタートから左右に分かれていた二人は「ANDROID」で交差する瞬間に、勢いよくハイタッチし、「B.U.T (BE-AU-TY)」ではワイヤーでのフライングを見せたが、とにかく、会場全体を使ったダイナミック演出に驚かされる。そして細かいところでいうと、「One More Thing」のラストで右手を高く上げ人差し指で天を指したチャンミンがその指先をカメラにアップで抜かれると、指でハートを作りファンを沸かせたが、曲のところどころでチャンミンがアップで抜かれるたびに、カメラ目線で胸キュンリアクションを見せるところもファンにはたまらなかっただろう。
二人の高音が映えるバラード曲「Bolero」が11曲目に繰り上がったが、10曲目の「シアワセ色の花」までは、ドーム公演と同じセットリスト。「これからビックリするかも、マジ卍(マンジ)!」というユンホのギャグ(?)を挟んで、中盤は5年前の日産スタジアムでも歌った楽しいムードを巻き起こす「Rat Tat Tat」からスタート。
「Duet」~「逢いたくて逢いたくてたまらない」はチャンミンが「距離がドームの3倍に伸びた」と言っていたが、2曲にわたり130メートルをゆっくりとフライング。距離だけでなく高さも、後方のスタンド2階近く(なんと15メートル!)まで到達する。このフライングは、2011年に新生東方神起の“王の帰還”を告げた演出を思い起こさせ、上空を舞う彼らを見るだけで、無条件にテンションが上がる。ユンホの「みんなで一緒に歌いましょう!」という一言で、客席から「逢いたくて、逢いたくて♪」という大合唱が起こった。
暗くなってきた日産スタジアムに“レッドオーシャン”が広がると、ここからが本格的なドラマの始まり。大勢のダンサーを従えたユンホが、ソロ曲「Drop」を韓国語で披露。ユンホの除隊後、最初の復帰ステージとなった韓国でのSMTOWN LIVEでパフォーマンスしたこの曲で、ダンサーたちが作ったマンタワーの頂点の王座に座るユンホの皇帝感にはゾクリとする。ダンスの皇帝ユンホが炎だとしたら、X JAPANの「Forever Love」を美しい高音で歌い上げたチャンミンは、巨大な水柱を上げる噴水が彩るように、水だ。本当に両極の美を思い起こさせる二人だ。
ダンスで魅せた「DIRT」、そして、5年ぶりのパフォーマンスとなる懐かしの「Purple Line」と一気にラストスパートまで駆け抜けると、再び会場が“レッドオーシャン”に彩られ、大きな旗を振るダンサーの先導でトロッコに乗った王が行進。二人の王の帰還を告げた「Why?[Keep Your Head Down]」の力強いリズムに乗って踊るユンホとチャンミンは、ソロダンスを終えるとガッチリ腕を交差させる。やはりこの曲は、二人を象徴する曲だと改めて思わせたが、ユンホの「ガンガンいくぞ!」という号令で、ステージに炎が上がった。
本編の興奮が冷めぬまま、アンコールもさらに大きな熱量でたたみかける。アンコールのスタートを飾る「Rising Sun」は、2005年にリリースされた彼らにとって大事な曲だ。韓国では5万人を集めたショーケースを開催し、日本での初ツアー、そして初のアジアツアーをこの曲と共に回った。SMPといわれるドラマチックな展開のこの曲は、10年以上たった今でも、アレンジを重ねて現在の東方神起らしさを表現してくれる。歓声の大きさも格別だ。この日の「Rising Sun」ではユンホがいつもと違う動きをしていたが、ユンホ曰く「ここ(頭)がピキッときた」そう。そんな極限の気迫のこもったパフォーマンスに、見ている方も魂を揺さぶられる思いだ。
このライブでは、チャンミンが「大切な人がいるから一歩踏み出せる。その一歩が未来へ続く道になる。この二人(東方神起)にとっての大切な人はみなさんです。そんな気持ちを込めた」という7月25日にリリースされる新曲「Road」も初披露された。
新曲「Road」で癒されたかと思った後は、懐かしのヒット曲メドレーに突入。ユンホの「We are~」の声に会場中が大きな声で「T!」と応える「ウィーアー!」、タオルを回す「OCEAN」、客席から赤い風船が夜空に放たれる「Sky」、「Summer Dream」の“ユノタイム”では、ユンホがバク宙をキメた。
アップチューンで盛り上がった後は、暗転したスタンドに無線コントロールライトで「THANK YOU TOHOSHINKI」という大きな文字が浮かび上がると、これまでの喧騒が嘘だったようにしっとり聴かせる「Begin~Again Version~」がスタート。センターステージでスポットライトを浴びて向き合うユンホとチャンミン。二人のハーモニーと<今、二人だけでBegin>という歌声に7万人超が聴き入る姿は圧巻だ。
ラストを飾ったのは、東方神起のライブには欠かせない「Somebody To Love」。ユンホの「ジャンプ!」の声で会場中がジャンプをすると、ユンホとチャンミンは花道を全力疾走。フィナーレには夏のような夜空に盛大な盛大な花火が打ちあがり、熱狂の幕は下りた。
この日は熱狂的な東方神起ファンとしても知られるEXOのシウミン、そして前日まで日本公演を行っていたRed Velvetも応援に駆けつけていた。Red Velvetのジョイは、以前ライブMCで、「東方神起先輩が武道館でのコンサートで泣いている姿をDVDで観て私も泣いた。RedVelvetのメンバーになって、こうして日本のステージに立った自分を少し褒めてあげたくなりました」と言っていたが、彼らのために苦難の道を切り開いてきた先輩が見せてくれたこの光景は、後輩たちの目にどのように映ったのだろう。
印象的だったのは、とにかく“ファンの近くへ”という二人の気持ちだ。広い会場をくまなく使い、メインステージにいる時間が短い。この日は暑さ、そして最終日のドシャ降りの雨という天候さえも東方神起の伝説の演出のようだ。パフォーマンスにも歌にも、気迫が溢れる。そして、その迫力に反するMCでのほっこり感とのギャップ……。2年のブランクなんて、彼らには関係ない。東方神起とファンを結ぶ“レッドオーシャン”の絆は、以前と変わりなく、いや、もっともっと大きくなっている。東方神起はやっぱり、愛さずにはいられない男たちだ。
雨に彩られた最終日には、9月から始まる『2018年全国アリーナ&東阪ドームツアー』も発表された、自分自身でどんどんハードルを上げていく東方神起。次はどんなステージを見せてくれるのだろう。
(取材・文/坂本ゆかり)