【記事】お正月から、歌舞伎三昧!【松本金太郎改め 八代目 市川染五郎】 | YUNHI My Room

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2018年は、高麗屋三代襲名で幕を開ける、歌舞伎にとって輝かしい年。そんな記念すべき年明けには、見どころとなる公演が続々と。歌舞伎座、国立劇場、浅草公会堂と、晴れやかな舞台で新年事始め!

松本金太郎改め  八代目 | 市川染五郎

ついこの前までベテランのお弟子さんに化粧をしてもらっていたが、いまでは約30分ですべて自分で行う。土台がいいのもあるけれど、絵の上手さはここでも十二分に発揮される。
photo:SAKIKO NOMURA

 

襲名する自分にかけたい言葉は、
「初一念を忘れるな」です。

男子にとって12歳とはどんな年頃なのだろう、と彼を見ていて思う。1年前に行われた襲名発表記者会見では、「美少年現れる!」だったのが、1年を経て行われた襲名披露祝賀会の彼は、青年の入口に立っているようだった。しかも1年前は「頑張ります」しか口にしなかったのに、いまでは自分の言葉で襲名についてしっかり語る。ともに襲名する祖父や父を驚かせるくらいはっきりと、明確に。

「いろいろな準備をしてきましたが、11月の始めにスチール撮影があったんです。襲名披露公演で演じる『勧進帳』の義経と、『仮名手本忠臣蔵』の力弥の扮装をしたこともあって、すごく実感が湧きました。同時に不安というか、責任の大きさも感じた気がします」

だって四天王が……と『勧進帳』で彼の家来役をする俳優たちの名前を挙げた。皆、彼の大先輩である。それを従えて日本を代表する悲劇の英雄を演じるのだ。12歳にして、しかも「染五郎」という名を背負って。

好きなだけでは済まない立場になったけれど、原点を振り返りながら前へ。

「昔を知っている方は染五郎といえば祖父だろうし、いまの方にとっては父なのだと思います。だから襲名したからといってすぐに僕が、とはならないと思います。時間はかかると思いますが、染五郎といえば僕と思っていただけるようになりたいと思います」

1月に彼が義経役で出演する『勧進帳』は、高麗屋を代表する演目である。主役の弁慶は憧れの役だというが、これまでに2度、太刀持役で出演し、祖父と父の弁慶を間近に見てきた。

「祖父は弁慶を1100回以上演じているので、研ぎ澄まされた、極められた人の弁慶という感じがしました。父はその時が初役だったのですが、子どもの頃から演りたいという想いを抱えてきたらしいので、それが一気に爆発したみたいな弁慶でした」

 

ーううむと唸るくらい冷静な目。彼はそのどちらを目指すのだろう。

「僕がいちばん好きな弁慶は曽祖父です。映像で見ただけですが、どっしりとした存在感がすごく弁慶だなと感じました。すごく合っていました」

 

ー八代目松本幸四郎であった曽祖父とは共通点を感じるらしい。

「絵が好きで、歌舞伎の家に生まれていなかったら画家になりたかったらしいんです。僕も絵を描くのが大好きなので、気持ちがすごくわかります」

 

絵が好きなだけあって色にもこだわる。紫が好きだというが、新しく誂えた着物は「薄い色のものを持っていなかったので」と白を選択した。
photo:SAKIKO NOMURA

 

ー高麗屋に生まれなかったら画家?

「いえ、歌舞伎役者に憧れていなかったら、です」

 

ー本当に芝居が好きで、人形を役者に見立てて芝居作りもしている。

「将来、新作を手がけるためというのもあります。高麗屋はそういう家ですから。ですが、家で父や祖父の真似をして芝居ごっこみたいなことはなくなりました。ただ楽しい。少し前まで、僕にとっての歌舞伎はそういうものだったけれど、襲名となって、それでは済まされないものになったんです。でも、襲名前最後の舞台『大石最後の一日』で、僕が演じた細川内記が大石内蔵助に『初一念を忘れるな』と言われるんですが、それは役者にとっても大切なことだと思いました。原点を忘れないこと。子どもの頃に感じたこと、経験したことを振り返りながら、襲名を迎えたいと思います」

 

いままさに、雛鳥が飛び立つ瞬間の彼。
松本金太郎として最後の舞台となった『大石最後の一日』の細川内記。討入を果たした大石内蔵助に、自分のためになる言葉をくれと頼む若殿役だが、その時、大石が言うのが「初一念を忘れるな」。内記の最後の台詞「一同、名残が惜しいのお」が、彼のいまと被った。
photo:SAKIKO NOMURA

 

高麗屋。2005年生まれ。

09年、『門出祝寿連獅子』で初舞台、四代目松本金太郎を襲名。

歌舞伎座杮葺落公演では『盛綱陣屋』の小四郎という子役の大役を見事に演じた。

将来を見据え、女方にも挑戦したいという。

現在中学1年生。趣味は仏像フィギュアのコレクション。