大阪を始めとした関西圏で、ここ1~2年で巣立った方々の「開業」に向けての気運が高くなってきている。現実に、Aさんがここ2カ月ほど前の開業スタートから、なかなか「いい成績」で営業の波に乗り始めている。
もちろん、「会の現状」から言えば私が講師になってからの期間でさえもう10年になる訳だから、結構な数の方々が「開業」に踏み切ってそれぞれの現実に漕ぎだしていった訳なのだが・・・。
私の知る限り、「バラ色の現実」というよりも、それは明らかに「灰色」、または「真黒」な現実である場合が多いような・・・。
もちろん、個人的には「悲観論者」というよりは「楽観論」を支持する私なのだが、それにしても今までに自分が見てきたそれらの「現実」は酷過ぎる・・・ような気がする。
私はここに来て、まだまだ「この先」に夢を見ることができる・・・が、
これから「続く」或いは「始める」人たちにはまずは「厳しすぎる現実」が待ち構えている事を、ホントのところ肝に銘じてもらいたい。
厳しい事を言っているのでは決してないと、自分では思っている。その厳しさがあれば、ホントにこれから現実で起って来る「凍るような厳しさ」に、少しでも対抗できる。或いは、忍耐出来るのではないかというささやかな老婆心である。
錬成会でもどこでもよく言う事だが、
「治す前に稼がなければ、治す事も出来なければ、生きる事も出来ないですよ。」
と、いう事なのだ。
「私個人にとっては、施術力をあげること!それが第一です。
でも、この錬成会で目指しているのは参加される方々の施術力をあげることではありません!そんなのは、当り前のことであり、その『次』に控えている目的。それこそが私の目的ですよ。
つまり、参加されるみなさんの院を繁盛させる事!それが、私が錬成会を自分の健康を少なからず犠牲にしながらも続けている一番大きな理由です。
患者さんが来ないことの、苦しさ、恐怖は私は5年も6年も身を切るように感じてきましたからね。」
で、現実を直視できていない過大な「期待・妄想」で、「ないかもしれない希望」を抱いてこの整体業に飛び込もうとする訳だが、この世界で自分を生かし、家族の生活を支えることは並大抵の大変さではない。ある意味「努力」という言葉さえが、胡散臭く聞こえるぐらいに・・・。
少し考えれば、1施術4000円とか5000円が、今の社会の経済から考えてそうそうたやすく出せる金額でない事は想像に難くない。それを日に出来れば3人以上毎日となると・・・余程の条件が揃わなければキビシイ数字である。
4000円と言ったら、先日も我が家4人でたらふく回転ずしを食べて、私はビールまで飲んで最後に3人がデザートまで食べて・・・それが、約4000円。
一人だけの小一時間の恩恵の為に、いったいどれくらいの人が4000円という施術料を定期的に払うだろうか?
余程身体の事で困っている人で、余程そこが気に入ってくれて、現実に症状がよくなっていって、なおかつそれなりの経済力がある人・・・
で、これだけの条件がそろう人も少ないのにそれを各種療法が「とりあって」いる現実。
少し考えれば、リピータの患者さんを定期で取ることが、どれだけ「確率の低い」世界かは、一目瞭然だ。
でも、それが出来なければ「食べていけない」のも一目瞭然である。
・・・その現実が、これからこの業界に参入しようとする人たちにはあまり見えていない。
軽々に
「院が持てるまでは、出張施術で頑張るつもりです!」は、
確かに聞こえはいいが、はっきり言って無理だと思う。
整体の主力は「女性」だ。その女性が、面識もないチラシだけで知りえた男性施術家を家にあげる?
まずは、考えにくい話である。余程の「保険」がかかっていなければ、男性施術家の出張施術というのは非現実的な選択だと思える。
いつも話す事だが、「やりたい事」の前段階でどう動くかだと思う。
料理に「下ごしらえ」がいるのと同じだろう。
地縁・血縁・友人知人・家族の友人知人・行きつけの理髪店・妻や母親が足繁く通うスーパーマーケット・その他様々なツテを使ってでもまずは自分を知ってもらい、売り込む事。
で、体験施術を受けてもらう訳だが・・・・・。
予想以上にこれも大変な場合が多い。
無料で体験施術を行って、日に一人か二人・・・なんて事になるなら、営業はもう完全に「非現実的」で「絶望的」だと思う。
タダでも来ないなら、料金をとることなんて到底できない。
つまり、「下ごしらえ」がないならば・・・「無料体験施術」ですら、人が来ない!
それが「現実」。
私の場合はこうだった。
開業前の3ヶ月間、無料体験施術。
様々なツテを使って、計423人の施術を行う。単純計算でこの間は一月140施術。
で、開業した途端、月10施術程度に・・・。
ここで得た「教訓」・・・
「無料で来る方々は、無料で来る人であり、料金を払ってまでは決して来ない。」
ある程度の「無料体験施術」を成し遂げたとしても、このテイタラク・・・。
まぁ、当時の私の施術スタイルと施術力からして、妥当な現象だったと今では納得しているが・・・・・。
つづく