ここMiddleburyでは、毎回食堂で、同じ語学学科の色んな人達と円卓を囲んで食べる。
イタリア語学科は規模が小さいので既に大多数の人たちと顔見知りなのだが、
昨日の夕食時、「はじめまして」の人とテーブルを共にした。
身長180センチ位、色白で細身の白人。年齢は30代か。
神経質そうな細面の顔に繊細なフレームのメガネがマッチしている。
イタリア語は、ここでは珍しい、
まるっきりの初心者。
自己紹介すらおぼつかない。
ここでは何があっても英語を使ってはいけないので、きっと毎日非常に苦労するだろうと思う。
初級レベルの授業を受けている大学1年生ですらもうちょっと勉強してからやってくる。
まぁそんな事はどうでもよいのだ。
何よりも気になるのは、彼が
奇妙奇天烈な存在感を醸し出している
事。
普通に黙って食べているだけなのだけれど、何というか・・・・普通じゃないのだ。
ゆっくりゆっくり、約10分かけて話しかけ、自己紹介し合った所、その理由が分かった。
現役神父様だったのだ!!!
そうだよね、そりゃ普通じゃないよね。
何やら、神学の勉強をしてドクターの資格を取るために4年間ローマの大学院に行くのだとか。
そのために語学の勉強に来ているのだとか。
「ドクター取ったらキリスト教内での位が上がるのか?」
「おい、みんな!未来の教皇がいるぞ!いまのうちに写真とっとけ!」
といった下世話な我々の反応にもちょっと恥ずかしそうな曖昧な笑みで対応。
神父の貫禄であった。
そんな神父。
食事終盤になって、神父の隣の人がテーブルの上に置いた紙ナプキンの上にハエが止まった事に気づいた。
その隣の人はハエの存在に気づかぬ様子。
さぁ神父!どうする?!どうする?!
やっぱ殺生はしないよねぇ?でもそのハエの事、めっちゃ気になってるでしょ、君!!
と、内心ワクワクしながら観察していたのだが、
ためらう事5秒・・・
神父、紙ナプキンを丸めて一気にハエの息の根を止めた!!!
しかも、何度も色んな方向から握り直して確実に殺す、という丁寧さ。
おっと、そう来たかっ!!!
見た?見た?
と回りをちょっと見渡したものの、私しか神父の殺生の瞬間を見かけた者はいなかった。
驚きを共有できなくて残念(笑)
ちなみにその神父、
名前は
クリストファー。
将来「北米初の教皇」として「クリストフル1世」が即位する事があったら、それはこのハエ神父の事である。