2010年のイタリア料理修行時代には色んな地域を訪ねたが、沢山の素晴らしい景色の中でも自分的に忘れられなかったのがトスカーナ地方はモンタルチーノ村の景色。
レンタカーをしないと行けないような立地だが、T氏にもこの景色を是非見せてあげたい!と常々思っていたため迷わずこの夏の旅程にも組み込んだ。
見渡す限り畑&ブドウ畑の広がるトスカーナの大平原の中、こんもりと盛り上がった丘の上に村はある。
村に入るとすぐにある、お城。
このお城の城壁の上からの景色がとにかく最高に綺麗なのだ。
期待に胸を膨らませて登ってみたのだが・・・
あれ?畑が枯れ果てて茶色くなっているぞ。
・・・思っていた景色と違ったので戸惑いを感じる。
二年前に訪れたのは5月で、この夏は灼熱の7月だったために猛暑で草木が枯れてしまったのだろうか。
二年前の写真と比べてみる。↓
この時のカメラはコンパクトタイプだったので画像の綺麗さに違いはあるものの、二年前の5月時は一面緑で開放感が半端ない景色だった。
まぁ、今回の景色も綺麗っちゃぁ綺麗なんだけど。
景色を求めて訪れるなら初夏がオススメです。
村には小さな教会と沢山のレストラン、そして沢山のお土産ワインショップが並んでいる。
そう、モンタルチーノといえば、かの有名な
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの産地ですからね。
日本の酒屋には多くても4,5種類しか置いてないと思うが、輸出をしていない小さなワイナリーは数限りなくあるのでものすごいセレクションの中、どれを買おうか迷ってしまう。
村を歩いていて感じたのは、二年前に歩いた時よりも大分観光地化されてしまったな。。。という点。
試飲もできるワイン屋には英語を操る外国人(ポーランドとかルーマニアとか)の店員が常駐しており、愛想を振りまく。
レストランも外に英語メニューを張り出している所が目立った。
短パン、サンダル、ソックスルックのアメリカ人観光客が大群で村を練り歩いている。
・・・どうやらアメリカにおける「ワインブーム」の影響でモンタルチーノがアメリカ人に大人気になってしまっているようだ。
残念。
いや、残念。
夏休みの季節というのもあるのかもしれないが、二年前に訪れた時に感じた「イタリアの村の田舎感」が薄れてしまっていた。
一つそこまで変わっていなかったのはレストランか。
飾り気のないこじんまりとしたトラットリアがほとんどで、地元の人でも楽しめる味のクオリティを保っているのはさすがである。
コックのおばちゃんが暇になると厨房から出てきてドカッと大股広げて座ってボケーっと客席を眺めていたりするのも味がある。
そんな飾り気のないおばちゃんコックの作る料理、こーんなに色気ないのに・・・
これら↑は、ピチと呼ばれるこの地域の手打ちパスタ。
手で細長く伸ばして作ります。
色も白いし・・・
うどんかっ??!!
という感じ。
上の写真は、ちょっとピリ辛なトマトソースで和えたもの。
下の写真は、素麺にトマトとバジル、塩、オリーブオイルを和えたものが乗ってるだけ。
値段も一皿6ユーロしない、と見た目通りの安さ。
ね、美味しそうに見えないでしょ?
特に下のお皿なんて・・・。 一昔前の日本のファミレスの「お子様プレート」のスパゲッティを連想させるでしょ?
それがね、
謎に美味しいのです。即完食。
パスタの粉配合とか、塩加減とか、トマトの熟れ加減とかのバランスが最高なんでしょうね。
多分、並大抵の人に真似できるものじゃない。
こういうものを気軽に食べられる幸せ。
マンマの食文化が浸透した国だな~、としみじみ好感を覚えます。
ちなみに二年前に食べて感動を覚えた前菜がこちら。
ちょっと分かりにくいけど、何かのキノコ(地域のもの。名前忘れた)のカルパッチョの上に削りパルミジャーノが乗っており、そのさらに上にサマートリュフがめちゃくちゃに削ってある・・・
というもの。
キノコの旨みが半端無く、毎日でも食べたい!と思った一皿でした。
高そうだけどそこまででもない。8ユーロ位。
これがまた食べたくて、うろ覚えの街並みをしばらく探索し、レストランを発見。
「二年前にこんなの食べたんだけど。ありますか?」
と聞いた所、残念ながら今年は猛暑すぎてキノコが採れないのだとか。
代わりにビーフのカルパッチョを出してもらいました。
キノコがなかったのは残念極まりないけれどこれも美味しかったのでまぁよしとしよう。
モンタルチーノ、10年後とかはどんな村になっているのだろう。
観光地として人気になればどんどん潤っていくのだろうけれどあまり変わってほしくはないなぁ。