私達のアパートは、全体でスカパーみたいなサテライトTVと契約している。
なので、常時相当な数のチャンネルを見ることが出来る。
その中にはFood Channelというものもあり、IRON CHEF(料理の鉄人のアメリカバージョン)、3分クッキング系の番組など、ずーっと料理に関する番組を流している。
お気に入りの番組はいくつかあるので後々紹介していこうと思うのだが・・・
まずは事故的に見てしまったこの番組について。
先日、何気なくTVをつけたらあまりにもありえない光景に
「はぁ~??!!(# ゚Д゚)」
とTVに向かって突っ込んでしまったのでご紹介。
どうやら、「カリスマ料理主婦」的なものらしい。
日本でいう栗原はるみさん的存在か。
この日は、
「このオバハンがスペイン→イタリア→フランスの料理を紹介する」
という内容の料理番組だったようだ。
ちょうど私がTVを付けた時は、「スペインのパエリア」が出来上がり、
「さぁ、スペインを旅した所で、今度はイタリアに行ってみましょう。イタリアのキャルボネイラの作り方です。」
とオバハンがのたまっている所であった。
この瞬間、私の額には怒りマークが浮かぶ。
「キャルボネイラ」って何だよっ!!
恐らくカルボナーラ(Carbonara)の事であり、”C”のアルファベットを見たら「キャキィキュキェキョ」しか言えなくなるアメリカ人が
「キャルボナーラ」
になってしまうのはまだ許そう。
でもさ、
「ネイラ」って何よ、「ネイラ」って。
気色悪い。
思わずTVに釘付けになった所で、オバハンは料理を作り始める。
「タマネギをみじん切りします」と言いつつ、非常に危なっかしい手つきで粗いみじん切りを作り、
「パンチェッタと炒めます」と言いつつ、どう見てもベーコンとしか思えないものとフライパンで炒め始める。
そして、
「さ、その間に一箱分のパスタはもう茹だっていまーす、だからザルに揚げてシンクで水を切っておきますねー」
・・・って、もう茹だっちまったんかいっ!!
しかも写しだされた「ザル揚げパスタはモリモリと水を吸い、うどん状に。
いやいや、ソースも出来てないうちからパスタゆであげちゃダメだって、しかもシンクに放置したら冷めるし水分切れすぎるし・・・、そもそも絶対的に茹で過ぎだしっ!!
と、焦りつつもオバハンの次の工程を見る。
「さ、ボールには卵黄5個、生クリーム、そしてこ・の・パルミッジャーノ・レジャーノの擦りおろしを入れて混ぜますねー」
そもそもCarbonaraは卵黄とグアンチャーレという豚のホッペの塩漬け、パルミッジャーノだけで仕上げるパスタであり、茹で汁との微妙な調整で「とろみ」を付けるものである。結構これは難しいが、成功すると本当に美味しい。
まぁでも、万人ウケするものを作るため/失敗を減らすために生クリームや牛乳を入れるレシピも沢山あるし、イタリアのその地域で食べるものでないなら別にそれでもいいと思う。
ただ私が気になったのは、
泡だて器で混ぜられたそのソースが、「パウンドケーキのタネか?」と思うほどドロドロと水分が少なく、かつパスタ一箱分に対しては量が少なすぎると感じられた事。非常に危険なニオイがする。
そして、彼女が
「パルミッジャーノ・レジャーノ(Parmigiano Leggiano)は、イタリアのチーズです。さ、私たちはこれを「Par・Legg」(パール・レッグ)と呼びましょう。はい、Par・Leggソースが出来ましたー」
と言った時、私の額の怒りマークは2つに増えた。
何故略す??!!どうせ略すならもっと短く略せんのかっ!!
次に彼女は、そのソースに先ほどからシンクで冷却乾燥されていたうどんを投入、ぐるぐるとかき混ぜる。
うどんは、私が思っていた以上に量が多く、ボールの中は凄い事に。
そしてさらにそれをフライパンに戻し、グルグルと混ぜて出来上がったものは・・・
どう見ても
「うどんに絡みついた炒り玉子」
である。
お世辞にも美味しそうだと思えないのだが、彼女は「Awsome!!」とか言いながらバクバク食べていた。
その後、
「さ、最後はフランスへの旅です」
と、デザートのクレープを作り始めた彼女。
ある意味、私は顔を引きつらせたままもうTVに釘付けである。
粉、卵、牛乳、ココアパウダーを混ぜてココア生地のクレープを作った。
ここまでは良かったのだ。
その後、彼女は出来上がったクレープ全体にバターを塗り、イチゴとバナナを置いて・・・そしてNutella(ヘーゼルナッツクリーム)を上にドカーっとのせ、巻いた。 そのNutellaの量に驚愕。まぁ少なく見積もっても日本で売ってる瓶の半分はあったね。
もうその時点で 残念!! である。
2-3mmの薄さで塗ってくれれば美味しかったかもしれないのにー・・・これじゃ、クレープの味もフルーツの味もせず、「Nutella」を食べる感じになっちゃうよ・・・。
ゲンナリした私を尻目に、
「はい、Nice little cream を載せましょうね~」
とホイップクリームをドカンと盛り、
「チェリーが必要ね」
と真っ赤な缶詰のチェリーを載せる。
「ピーナッツを少々」
と、ピーナッツを皿にばら撒き、
「そ・し・て・もうちょっとだけチョコレートをね☆」
と、上からさらにチョコレートソースをたっぷり・・・。
もう皿の上は、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来てしまったようなすごい状況になっている。
さすがに終わったか?と思ったが、最後極めつけの一言。
”Oh, I forgot some vegetables” (おっと、野菜を忘れたわ)
と、真ん中にミントの束をぶっ刺した。
Vegetablesって・・・
まさか・・・ミントは「野菜」カテゴリー??!!
完全に夕食を食べる気を削がれる料理番組であった。
これをアメリカ人は「美味しそう」と見ているのだろう。
ほんと・・・サスガです。
※)ちなみに、「ミント=野菜カテゴリ」 についてですが、「野菜」についてはどうやらアメリカ特有の見解があるようです。「アメリカの給食事情」みたいな題名でそのうち記事を書いてみようと思います。