甲状腺を全摘出したとしても、組織レベルで
甲状腺が残っていることはよくある話で、
甲状腺がんの場合その残っている甲状腺組織
から再発する可能性もある。
アブレーションは、残っている甲状腺組織を
放射線によって破壊する治療のことで、
放射性ヨウ素カプセルを飲んで放射線を体内から
放射する方法によるため、内照射療法という。
甲状腺乳頭がんは性質が甲状腺に近く、
甲状腺同様ヨウ素を取り込む性質を持つ。
しかし甲状腺に比べヨウ素を取り込む力は
100分の1にも満たない。
アブレーションはこの甲状腺乳頭がんの
ヨウ素を取り込む性質を利用して、
放射性ヨウ素をがん組織に取り込ませて
破壊していく。
アブレーションは、がん組織が放射性ヨウ素を
多く取り込んでくれれば治療効果が大きくなる。
放射性ヨウ素を多く取り込むにはTSH
(甲状腺刺激ホルモン)が高いほどよい。
TSHを高めるために一定期間チラージンを絶って
甲状腺ホルモンが不足している状態にする。
ただしこの方法では甲状腺ホルモンが不足している
状態が続き機能低下症状が出るため、
それを避ける方法としてタイロゲン注射を行い
TSHを高める方法もある。
この方法ではチラージンを絶たなくてもよいため、
機能低下症状となることなくアブレーションが
できる。
なお通常通りヨウ素を摂取していると、
がん組織がヨウ素を取り込んでしまうため
アブレーション時に放射性ヨウ素の取り込み
が弱くなる。
そのため、アブレーション治療の前後一定期間
はヨウ素制限を行う必要がある。
なるほど...

要するに...だ。
まずTSHという上司がいて、
「甲状腺ホルモンが足りないぞー、もっと働け」
と、部下の甲状腺に命令する。
でも甲状腺はもういなくなってるので、
代わりに新人の甲状腺がんが微力ながら
一生懸命働いて甲状腺ホルモンを作ろうとする。
そんなことを繰り返していたが、甲状腺ホルモン
の原材料であるヨウ素はだんだんと枯渇していく。
一方で甲状腺ホルモンが足りないままなので、
TSHはもっと働けやー、と命令を強める。
途方にくれた新人の甲状腺がんの前に突然ヨウ素
が転がってくる。
喜んで食らいついたら、そいつは放射線を
持っていて、滅ぼされてしまうという訳か...
なんか…不憫な話だな

そんなことを考えながら待合場所で待っていると、
看護師が近づいてきて、
看護師さん:
「これからヨウ素制限について説明しますね。」
「これからヨウ素制限について説明しますね。」
パンフレットを渡された。
「昆布もダメ、もちろん昆布エキスもダメ。」
「出汁も気を付けてください。いろいろなものに昆布が入っていますので、必ず成分を確認してください。」
「意外に知られていませんが、十六茶やアクエリアスもダメです。成分を確認してください!」
「最近はコーヒーも何が入っているか分からないので、成分の確認は忘れずにしてください!!」
「分からない場合は、とにかく成分を確認してください!!!」
あまりにも成分確認、成分確認って言われた結果
ヨウ素制限って大変って聞いてたけど、
成分確認すれば大丈夫なんだ。
意外と簡単じゃん♪

と楽観的な理解をしてしまった。
そのため
もう少しちゃんと聞いておけば

と後悔することになりました。
