最後の記念日。僕は、赤い薔薇を抱えて君の元へ向かった。
花屋の店員に「特別な意味を込めるなら、本数で伝えてみては?」と言われて選んだ、6本の薔薇。
その意味は「あなたに夢中」
僕の、偽りない気持ちだった。
渡して、笑って、キスして、あの頃みたいに抱き締めてほしかった。
けれど、君はただ、困ったように微笑んだだけだった。
「6本の薔薇の意味は知ってる?」僕は尋ねた。
君は首を傾げた。「きっと知らないね。君は鈍感だから」
僕の言葉は、悲しいほど虚しく響いた。
君との未来を、ずっと夢に見ていたんだ。
小さなアパートで、ささやかな食卓を囲んで、歳をとっていく未来を。
幸せにしたかった。
そして、何よりも、幸せにしてほしかった。