2006年出版なのでちょっと古めですが、ニューヨークの日本人教育審議会教育文化交流センター教育相談室で相談員をしている人が著者で、

ニューヨークで多くの駐在員の子供たちの相談を受けてきた人です。

 

 

 

 

 
もう、普通には売られてなさそうで、中古とかになりそうです。アメリカから手にいれるのは困難かも。これから赴任する方は日本にいるうち入手する事をおすすめします。
少し内容が古いところもありますが、かなり良い本で、現地校やアメリカでの子供の困り事にどう対策すべきか、また、アメリカの教育制度についても解説されており、日系の幼稚園にかよっている我が家ですら、結構ためになるので現地校だと尚更だと思います。
 
 
例えば、日米の教育の違いが書かれてます。
アメリカの教師はとても良く褒めてくれるけど日本の親は子供をあまり褒めない。
 
だいぶ日本の親も褒めるようになってきたけど、それでもアメリカの親や先生には及びませんよね。
しかも、実は私自身、褒めすぎに対して少し疑問を感じてます。そこまで褒めなくてもいいのでは?と思っているんですが、これも良くないそうです。
 
なぜなら、先生は些細な事でもすごく褒めてくれるのに、日本人の親は全然褒めてくれない。
親に認められてないと子供は感じるそうです。
 
よく考えてみれば、当たり前ですよね。
子供は日本の普通の教育を知らないのですから、日本人の親の当たり前だと思っている反応が冷たい、関心がない、認めてもらえないなどと思うそう。
 
 
恐ろしい勘違い!!
 
 
だから意識して大袈裟にやる必要があるそうです。目から鱗でした。
 
 
その他、色んな本にかかれている、不適応などについて学術的に解説されています。不適応などが出ると子供はどんな反応を示すか、どんなものがあるかが書かれており、早めに専門家のところに行く事を勧めています。手遅れになる前に早めに来る事を強調していました。
私がなっていた、場面緘黙症にも触れられていて、やっぱり珍しいわけではないんだなと思いました。場面緘黙症は、親はなかなか認識する事が難しいと思います。ただのシャイなのか、英語が話せないから何も話さないだけと思われ見過ごされるのだろうと思います。(最近、思うのですが場面緘黙症って私の時代より自己主張が必要な現代の方が子供は苦労しそうですね。)
ただし、この本には解決法はなく、専門家に行く事を勧めて居ます。それは、子供によって置かれてる立場は、年齢や渡米時期、環境によって大きく異なるので一般化できないのだろうと思います。今もあるかは未確認ですが、さまざまな海外子女、帰国子女の相談機関が巻末に載ってました。
 
 
 
また、発達障害や学習障害にも詳しく触れられており、アメリカではどう言ったサポートが受けられるかなども書かれています。ただし、古い本なので参考程度ですが。
 
そして、補習校の章はとても良かったです。
正直、補習校の先生むけでは?とすら思いますが、補習校維持の大変さがよくわかり、
幼稚部を開設してくれている、現補習校とその先生方には感謝しかないなぁと思います。
アメリカだと補習校があるのが当たり前という感じですが、そうではないのです。(私が通ってた補習校はとても小さかったので、なんでも親がやってた気がします)
 
また、補習校に通う動機や、補習校の存在意義、また、永住者と駐在でのスタンスが違うのに、なぜクラスを分けないのか、又は、日本と同じ授業にこだわるのかという理由もかいてありました。
そして、補習校に対する心構え。子供が辞めたいと言った時にここを読んでも辞めたいと思うか問いたいと思うほど、補習校に対するポジティブな意見が載っています。そういう考え方はとても素敵だなと思えるものばかりでした。
補習校は、日本人である事を確認できる場所だった。という子供の声が載っていました。
私は、子供が自分が日本人であるという事を自覚するのはとても大切な事だと思うようになりました。現地校に行くことで、子供はなぜ自分はアメリカ人でないのだろうと悩む事があるそうです。(アメリカで産まれればアメリカ人ですけどね)
がしかし、数年の駐在では、逆立ちしてもアメリカ人には絶対なれないのだから、日本人として誇りを持って過ごせた方が絶対に良いですし、将来、国際人になりたいのならば、英語ができるだけではダメだと考えるようになりました。
日本についてちゃんと話せて理解していないとダメじゃないかなと。
そういう意味でも補習校の役割は大きいのだろうと思うようになりました。
 
 
 
そして、最後の章は帰国後のサポート。
帰国後の不適応は、赴任時に初めて海外に行った時より起こしやすいようです。
日本での生活を経験しているから、戻っても大丈夫だろうという油断は禁物だそう。
特に就学前からアメリカで生活している場合、アメリカ生まれ、または、アメリカ社会に溶け込んだ生活をしている場合は注意が必要だそう。
 
やはり、TCK(サードカルチャーキッズ)で書かれていた、見た目が日本人であるのに行動が違うと言うのが悪目立ちするのでしょうか。
 
日本に限らず、アメリカや他国であっても見た目が同じ国の人なのに行動が違うというのは、かなり生きづらいそうです。
日本は特に周りと同じを求められるので、更に厳しいのでしょうか?
 
 
また、アメリカでうまくいかずに日本に帰れば全てが元通りに上手く行くと考えてる場合も注意が必要だそう。日本に期待しすぎてもやはり裏切られるのでしょう。
うちの子は日本に帰れば薔薇色と思ってそうなので、そこをやんわり否定する必要があると思います。
 
うちは、全て日本語で、幼稚園も日本語なので言葉は問題ないですが、
先生のノリやシステムはアメリカに寄っており、日本とは別の生活をしているし、
小さなコミュニティで生活しているので、似た生活環境の人が多い環境なので、日本人のクラスメイトが何十人もいて複雑になる人間関係などカルチャーショックを受けるだろうなと思っています。
その辺りをどうサポートしてあげるかだと思いました。

 
たまたま人に貸してもらった本でしたが面白い本でした。