

あの人の事が好きでした。
当時、若くて年齢の割に
スレていなかった私は、
あの人にとって、すごく
扱いやすかったのだと
思います。
好かれていませんでし
たが、相手してくれる
事が嬉しくて。
ただ好きで。
そんな恋愛があるなんて
知りませんでした。
宗教みたいに心の支えに
して慕っていました。
勝手に自分だけで。
フラれても、いつまでも
好きで困った。
どうでもいい思い出まで
必要以上に大事にして。
些細な事から酷い事まで
何もかもが忘れられなくて。
宝物みたいに大事にして。
苦しかった。
客観的に見ればタチの
悪いロクデナシなのに。
いつまでも好きだった。
今も、まるで冬に痛む
捻挫のアトみたいに、
瞬間、心臓が痛くなる
恋の記憶である。
