ラスベガス的リタイアの法則♡カマリオ編

ラスベガス的リタイアの法則♡カマリオ編

在米30年をハワイと南カリフォルニアで過ごしたのちに、ラスベガスで始めた引退生活。ところが主人が悪性脳腫瘍に。ラスベガス大好き♡なヨメが、愛する主人のために古巣カマリオへ。

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Hi everyone!

お元気ですか?

お葬式で取った主人の娘レイチェルの言動は、誰が見ても常識を逸していました。

「何アレ?! 自分の自慢話ばっかり」

レイチェルの弔辞を呆れたようにバッサリと切り捨てたのは、私の親友ディリア。

「お葬式でもレストランでも、私はずっと観察してたけど、アノコちょっとオカシイで」

そやろ? そやろ?
そやんな。

だけどもうおしまい。主人がいなくなって、これでレイチェルとも縁が切れる、とこの時は安堵したのでした。

ところが。

お葬式が終わってからも、レイチェルから何度か電話がありました。そもそも主人が元気な頃に彼女が電話して来たことなどありません。

彼女が私に連絡をよこすようになったのは、主人が脳腫瘍になってから。レイチェルからの執拗な電話に僻遠して主人が無視するようになった時に、私にかけて来た程度。

この期に及んで何の用があんの?

私は二度と関わるまいと決めていたので、すべて無視して、留守電すら聞かず、テキストも既読になるのが嫌で読まずに削除していました。

お葬式から1週間ほど経った頃でした。主人のスマホが鳴ったのです。誰だろうと覗いてみたら、発信者はなんとティミーでした。

ティミーが主人に電話したんや…。ぐすん

私はティミーのことが心配になって電話しました。

「大丈夫?」

「エッ? あ、オヤジに電話したから? いや、ちょっとオヤジの声が聞きたなって」

ティミーは留守電に残っている「メッセージをどうぞ」という主人の声を聞くために電話したのでした。

「僕、オヤジが僕の留守電に入れたメッセージも残してんねん」

主人の生前中ティミーは、毎日のように主人に電話していました。もう二度と電話に出ることのない父親に電話したのは、せめて録音されている声を聞くため…。

にわかに私の中で、子供を守る母親の心境が芽生えました。

あの子らも辛いねん。

それで翌日、レイチェルからの電話に出てしまったのです。

電話に出るや、レイチェルはヒックヒックと嗚咽していました。

「めちゃくちゃ辛いねん…」

前日のティミーの一件があったから、私は必死で慰めました。

「今は泣いたらエエねんで」

私はラスベガスでクムに言ってもらった言葉を繰り返しました。

その後2回ほどは、自分の感情に鍵をかけてレイチェルを慰めることに徹しました。主人の「ありがとう」と言う声が聞こえました。

でも電話に出るたびにレイチェルは泣きじゃくっているのです。

当時はまだまだ主人を亡くした痛みが生々しい時期で、私も1日に何度も声を上げて泣いたけれど、泣きながら人に電話したことはありません。

主人もよく「レイチェルから泣きながら電話がかかって来た」とこぼしたものです。泣いて電話する理由は、子供が言うことを聞かない、夫に冷たくされた、義姉に意地悪された、母親にひどいことを言われた、などなど。その度に主人は忍耐強く慰めて励ましたのでした。

何10年も主人は、気長にこれに付き合って来たんだ…。今更ながらに、レイチェルに翻弄され続けた主人が憐れで、それで私も目が覚めました。

そやけど、なんで私電話してくんの? 自分の母親に電話したらエエやん。友達もおるやん。ずっと私が嫌ってたこと知ってんのに、そんな相手にわざわざ電話することないやん。

泣きながら電話してくるのは、実は私が賃貸の家をどうするつもりなのか探りを入れるためかも…。

というのも一度、「あなたはどう?大丈夫?」と聞かれた時に、「なるべく忙しくしてるねん。家を売り出す準備とか」と言うと途端に声のピッチが高くなり、「どっちの家?」とにわかに元気になって聞いたことがあったのです。

それで、また一切無視することにしました。電話に出るたびに耳元で嗚咽されることにもうんざりしていました。

ある時、母と電話中にまたレイチェルから電話がありました。無視していると、留守電も残さずにまたすぐかかってきました。

何コレ?プンプン

それでも無視していると、またすぐに電話が。

さすがにこれで心配になりました。

もしかしたら子供が怪我でもしたのかもしれない。主人の孫に何かあったのに無視していたら、私は主人に顔向けできません。

それで3度目に出ると…。

相変わらず「…辛いの…」とヒックヒックと泣きじゃくっていました。

さすがに呆れて、

「今、母と電話中やから、かけ直すから」

と冷たい口調で切りました。

実はこの日、主人の死亡証明書が届いたのです。それを見た瞬間、私はまた泣き崩れてしまって…。
その夜に母と話がしたかったのは、それがあったから。

ところが10分もしないうちに、レイチェルはまたかけてきたのです。ガーン
まだ母と話をしている最中でした。

無視すると、またすぐかかり、また無視してもすぐにかかってくる…。ガーンガーンガーン

これが私を頑なにしました。

もう、絶対に出えへん。プンプン

するとなんと!
その後2時間で16回もかけてきたのですガーンガーンガーン

私は不気味な予感がしました。だってどう考えたって普通じゃない。
主人の子供たちの中で私が最初に怯えたのは、この件があったから実はレイチェルでした。

ディリアは「そんなんハラスメントやん」と憤慨し、長男に至っては「接近禁止令出してもらい」。「そこまででけへん」というと「ほんなら電話番号をブロックし」。

でも遺産問題のカタがつくまでは、3人兄妹の神経を逆なでするようなことはできません。ノリちゃんは「ティミーに相談した方がいい」と言いました。その時はまだティミーのことを信頼していたのです。

ただティミーも主人と同じで、レイチェルには何度も痛い目に遭っているのに、最終的にはいつも擁護していました。メリッサも以前に、

「どんだけ自分もレイチェルにヤラレてるかしれんのに、私がレイチェルのこと愚痴ったら怒るねん。だから私は言われへんねん」

と言ったのを覚えていました。

そこで翌日、メリッサに相談しました。するとレイチェルはメリッサにも電話していたことが判明。

「私も2回ほどレイチェルから泣きながら電話があったわ。その時に私もティミーに言うたから、私からティミーにブライアンに言うように話するわ」

「私もまだ自分のことで手一杯で、レイチェルの面倒まで見られへんねん。レイチェルにはプロの助けがいると思うわ」

するとメリッサは、

「あの子、もうずっと精神分析医にかかってやんねんけど」
びっくりびっくりびっくり

初耳でした。主人はそのことを知っていたのか。知っていたから、レイチェルの手に負えない子供のような言動にも忍耐強く付き合っていたのか。

でももし主人が知っていたら、私があれほどレイチェルのことを嫌っていた時に、「でもアイツも精神的に不安定でドクターにかかってんねん」と大目に見るように懇願したと思うから、おそらく主人には内緒だったと思います。

というのも、カマリオに越してくる直前に、レイチェルがアルコール中毒になったことがあったのです。この時も、主人はジャクリンからそのことを聞いてレイチェルを問い質し、叱咤激励して改善させたからです。

メリッサに相談してから10日ほどは、レイチェルからもティミーからも電話のない平穏な日々が続きました。

ティミーが主人のドクターの名前を聞いてきた時、それは最後にふと思い出したような口振りだったのですが、開口一番こう言いました。

「レイチェルはこの1週間ほど精神病院に入ってんねん」

ガーンガーンガーン

私は一瞬声も出ませんでした。

ディリアの「アノコちょっとオカシイで」が、耳の奥でエコーしました。

ホンマに狂ってたんや…。ガーン

それにしても。

やっぱり私は主人が不憫でなりません。主人はず〜っと何10年も、この3人を愛し翻弄され続けてきたのです。どれほどの心労だったことか。

主人が逝って、初めて私はその実態を目の当たりにしたのでした。

では、お元気で。

Have a nice day!

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