みずのゆうの 小さな小さな物語

みずのゆうの 小さな小さな物語

ここには私のオリジナルの小さな小さな物語たちを掲載しています。
ふとした時に夜空を見上げるようにのぞいてみてください。

あっ、あぶない!


日なたに入っちゃうとこだった。

建物のかげをつたって行かないと。

家まではまだだいぶある。


えっ、かげがとぎれてる。

ちょっと遠回りになるけど、こっちの道行こう。

ここを過ぎればもうすこしで安全地帯だ。


ああっ、かげが行き止まりだ。

この間はつながってたのに、時間がおそいからかな。

どうしよう。


ピッ!


あっ、お父さんの車。

助かったあ。

ナイスタイミング、父!


ごめんね、太陽。

また遊んでね。

上半身を起こし、まるで威嚇するかのように、彼は道の真ん中に立っていた。
まだ小さい。
しかし、2本の大きな顎は健在だ。

「こまったな。これじゃ通れないや。」

そのとき、私は妙案をひらめいた。
よーし、変身。
カブトムシ!
『海』

ぼくはきみが亡くなった理由をしらない。
いや、本当はしっている。

きみは、仲間を助けたかったんだろう。
きみはぜったい海に入っちゃいけなかったのに。
あんなやつら、ほっとけば良かったのに。
夜中に海で泳ぎだすやつらなんか。

「俺は海が好きだー!」
って、海岸で叫んでるきみのまえで、彼らが潮に流されそうになったとき、

きみの姿が消えた。


そうなんだろう。
なんとか言ってくれよ。





(あんなやつらとか言うなよ。仲間じゃないか。)

「今宵は良い月夜じゃ。」


「さようでございますね。」


「おお、あの牛車はなんじゃ! 月をふたつつけておるではないか。」


「あれは、“へつどらいと”と言う物にございます。」



絵に描いたような里山の風景。


服の内側から暖めているような

春の陽射し。


こんな朝には、最高のBGMが必要だ。


わかってる。

姿は見えないが、もう来てる。


しー。






ホーーーーーーーッ

ホケキョ〜!

朝食のパンをのせたお皿の上で

妖精が走っている。


皿の縁のあたりを

時計回りと反対に走っている。


あつ、走るのをやめた。


座り込んだ。


と、思ったら、立ち上がって

僕に向かってなんか文句を言っている。


ああ、ごめんね。

「親ゆび」がじゃまだったね。

星がひとつ消えたんだ。


生まれるときはあんなに時間がかかったのに。

死んじゃった。



山がひとつ消えたんだ。


おっきな噴火でふきとんじゃった。

あとかたもない。



何かがひとつ消えたんだ。


もうなにも残らない。

無だ。


無?


ほんとうに何も残っていない?


目には見えないけれど

確かにあるよ。


ほら。


ね。

こんなところに「女王」なんて

こんな時間に本当に現れるのだろうか


学校帰りの高校生たちは

ホームにたたずんでスマホを眺めている

電車は少し遅れているようだ


ふと、駅裏の通りを歩いている人と

目線がすれ違いそうになったその時

それはマンションのかげから

確かに私の目を強烈に奪い取った


夕陽に照らされピンク色に頬を染めた

南アルプスの女王

その日、

あなたの体温は

失われてしまったかもしれない。


けれど、

そのあたたかさは

空気を100億分の1あたためるだろう。


100億分の1あたたまった空気は

きっと、

地球を1兆分の1あたためるにちがいない。


そして、

わたしの体温は

9000兆分の1だけあがるんだ。

男の子は、くまと丘の上で夜空をながめています。


「あっ、星が降ってきた。」

「流れ星だよ。」


くまは、低い声でゆっくりと答えます。


風がすうっとふいてゆきますが
寒くはありません。

時間も温度も、止まっているみたい。

星のまたたきが
まるで暖炉のようです。


「きれいだね。」

「ああ。そうだね。」


くまは続けて答えます。


「きょうは月がでてないからね。暗いと星がよく見えるのさ。」


すると、男の子は、けげんそうに
くまの顔をのぞきこみます。


「でも、ぼく、月きらいじゃないよ。」


月の輪ぐまは、少しはにかんで
風をみつめます。


きょうは星の降る夜です。