唐織の帯帯を誂えた。 あなたはこれから公の場で着物を着る機会が増えるでしょうから、 と、見事は唐織の一本を薦めていただいたのである。 こういう時は即断即決。 そして、いそいそと母に報告するのである。 その母がいない。 母のように褒めてくれる人も、 母のように叱ってくれる人も、 いなくなった。 親を失くすとはこういうことかと、 やり場のない思いを胸に抱える。 辻が花のあなたの着物を仕立て直して、 その帯を合わせようと思っています。