炭水化物が大好きなメタボだった…胃腸の弱い胃腸科医が2カ月で10キロやせて、胃痛も消えた"長生き食事術" 胃腸が整うだけではない「朝のパン」をやめる意外な効果
小麦をやめたら胃痛と逆流感がなくなった!
夜の炭水化物をやめてからまず感じたのは、肉と野菜だけの食事だと異常なぐらいお腹が空くということでした。今まで胃がはち切れるぐらい満腹になるまで食べていたので、パンやご飯を食べずに、おかずだけにすると、いくら食べても胃の中が満たされないような感覚があります。
それでも炭水化物制限を続けた結果、今まであった食後の胃もたれや胃痛、逆流感が消え、胃酸を抑える薬に頼ることも、いっさいなくなりました。さらに、それまで炭水化物によりもたらされていた異常な満腹感ではなく、胃本来の満足感を知ることができたのです。
この体験は自分にとっては、まさに目からウロコでした。今まで胃痛といえば胃酸を抑える薬や粘膜保護剤を出すことしか頭になかった診療を、恥ずかしく思いました。
そして、胃痛の症状の4~6割ともいわれる「機能性ディスペプシア」という病態は、小麦を含む炭水化物に原因があるのではないかと考えるようになったのです。
胃腸科の受診理由トップ3
胃腸科を受診する理由の大半は、「胃もたれ」「胃液が上がってくる」「胸や喉が詰まる感じがする」という症状です。
こうした胃の不調の場合、胃酸を抑える薬や胃粘膜保護剤による治療が一般的です。
軽快しない場合は内視鏡検査をすすめられ、胃潰瘍やひどい胃炎、もしくはピロリ菌が見つかる場合もあります。治療によってこれらの症状が治まればよいのですが、治まらないケースも少なくありません。
そのため、何度も通院したり、胃痛だけでなく喉の違和感があれば耳鼻科を紹介され、耳鼻科で問題がなくてまた内科へ戻るといった「たらい回し」を繰り返すケースもあるでしょう。
もちろん、通院して症状が軽快すればいいのですが、長年通っても薬をもらうだけで一向によくならないと感じている人もいると思います。
通院してもよくならない原因不明の胃痛
私自身も、糖質制限を始めるまでは、胃もたれの治療については、上司に教わった通りに胃酸を抑える薬や粘膜保護剤を処方していました。患者さんによくならないと相談されても、「胃潰瘍でも治るお薬を出しているから、きっとよくなると思いますよ! これ以上の薬はないですから」と説明していました。
しかし、処方を続けても、あまり改善していないなという印象を持つことはありました。
ただ、医師としては胃がんや胃潰瘍を否定できれば、患者さんの命に関わる病気はそうそうありません。私自身が外科医だったため、「胃もたれは内科の仕事」と割り切って、本気で胃もたれに向き合うことはありませんでした。
丼ものや寿司、ピザ、パスタ、お好み焼き……。肉や魚は食べなくても炭水化物だけは欠かさない、という食習慣の人も少なくないでしょう。
しかも、その食習慣により自分が過食になっている事実にすら気づいていません。
胃腸の専門家から言わせてもらえば、食パン1枚やご飯1杯、うどん1杯、パスタ1皿という標準的に食べている量でも、胃にとっては過食なのです。
なぜなら、人間の消化管は炭水化物を大量に処理できる仕様には、なっていないからです。
そのため、パンやお米をはじめとする炭水化物を食べないようにすると、慢性的な胃腸や体の不調のみならず、生活習慣病やがんの予防、そしてアンチエイジングといった効果も得られるのです。
機能性ディスペプシア(FD)とは、胃の痛み や吐き気、むかつきなどの症状が起こる病気 です。人によっては定期的に発症し、救急車を呼ぶくらいの痛みになる場合もあります。 ですが、現在の医学では原因を特定できないのが特徴です。