この家に嫁いできて35年
それからづっと一緒に暮らしてきたお義父さん。
無口で遠慮深く、決してでしゃばることなく、物静かで、争い事を好まず
温和で、いつも穏やかで、子供が好きで、だれにも優しく
頼まれごとは嫌な顔を見せず、引き受け
人と接する時には、にこやかで
苦しい作業でも他人に助けを求めず 一人で頑張り
欲はなく、一杯の晩酌が楽しみで
畑を耕し続けて、野菜を作っていた。
まるで 宮沢賢治の 「雨にも負けず風にも負けず」に
うたわれているような人だった。
4世代同居の我が家だが、そんな環境を作ってくれたのも
この父がいたからこそのお蔭だと 感謝している。
年末27日の夜、88歳で旅立ってしまった。
病気が発覚してから、わずか1ヶ月。
あまりの早さにぽっかり穴が空いてしまったようで
悲しみから なかなか立ち直れない。
1ヶ月前に病院から帰る車の中で
「入院しなくて良かったなあ」 と告げた父。
癌が末期であると診断されてから、できるだけ家にいさせてあげようと
在宅介護を決めた私達。
父は勿論、病気の事は知らなかった。
せめて、半年ぐらいの猶予があったなら、もっと楽しませてあげれたかも・・・
と 悔やまれる。
意識が下がっていた中、ひ孫の聡ちゃんがそばにいる事を伝えると
ぱっと目をあき、両手を挙げてあやすしぐさをしたお父さん。
昏睡状態の時、「もう、頑張らなくていいからゆっくり休んでいいよ」
と言うと、 うっすらと涙をにじませ、穏やかな顔で永遠の眠りについた。
家族と子供と孫に見守られ、自室での最後だった。
それから、自宅での通夜、会場での葬儀、初七日と目まぐるしく過ぎ
新年になった感覚が麻痺している。
これからは、残されたお義母さんをいたわり、
お義父さんが築いてくれた家庭の和を忘れないで
生きていこう。
我が家の伝説の人 レジェンドとして 伝えていきたい
そんな偉大な義父さん 安らかに・・・ そしてありがとう