※この投稿は、当時リアルタイムで書けなかった事を後から振り返って書いた文章になります。
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火葬炉でたっちゃんと最後のお別れをし
骨上げまでの待ち時間は、個室の部屋に案内されました。
火葬場には、私達しか居ないので貸切状態。
退院してからあんまり落ち着く暇もなかったけれど、流産とはいえ16週6日なので自然分娩だった為、実は悪露もまだ少し続いていて時々下腹部が痛む事もあった。
私は、小上がりの畳の上で足を伸ばして休ませてもらうことにした。
お骨が残るように弱い火力で火葬してくれるとの事で、1時間くらいかかるとの事。
夫が、自販機の飲み物を奢ってくれるというので無糖の紅茶を頼んだ。
妊娠中は我慢していたカフェインを、気にせずガブガブ飲めるなんて…嬉しいけど、悲しい。
待ち時間は母に電話したりして過した。
夫がタバコを吸える場所を探しに外に出ていたので、私も外に出てみることにした。
火葬場の煙突から煙が出てるのが見えるかな。と思ったけれど、煙は見えなかった。
煙突を見つめていると、煙突の陰から3羽の鳥が現れ空高く飛んでいくのが見えた。
1羽の後ろから見守るように2羽が飛んでいく。
あ、あれはたっちゃんだ、と思った。
きっと後ろの2羽は、最後に火葬炉で棺の箱の横に置かせてもらった夫と私に見立てて折った2羽の折り鶴だ。
ちゃんとたっちゃんがお空に帰れるように、しっかり見守ってくれている。
慌ててスマホを取り出して写真を撮った。
3羽の鳥は空高く飛んで行き、やがて見えなくなった。
たっちゃんはちゃんとお空に帰れたみたいだ。
そう安心して控室に戻り少しすると、火葬場の職員さんが準備が出来たと呼びに来てくれた。
収骨室に入ると、火葬台の上に小さな小さな白いお骨が思ったよりたくさん乗っているのが見えた。
近付くと、大腿骨も、股関節も、あばらも、腕も、頭蓋骨も…ちゃんと形を成していてどの骨がどれだというのが分かるくらいだった。
18cm、137g
手のひらサイズで痩せっぽちだったのに、骨はこんなにしっかりしていたんだ。
毎日牛乳飲んでた甲斐があったのかな。
我が子は骨になってしまったのに、不謹慎にも私は嬉しくて仕方がなかった。
職員さんも、これはどこの骨です、これは…と説明してくれながら1つ、1つ丁寧に収骨した。
職員さんによると、同じくらいの週数でも、お骨が全然残らない子も居るらしく、たっちゃんはかなり立派なお骨を残してくれた方だという。
突然の別れで私達が寂しくないように、お骨を残してくれたのだと思うと、改めて親孝行な優しい息子だと思った。
職員さんは、塵のような粉状になったお骨まで丁寧に丁寧に収骨してくれて、半紙に包んでくれた。
用意していた小瓶に入れるとせっかく形が残ったお骨が砕けてしまうので、ハンカチに包んでそのまま持ち帰る事にした。
お世話になった火葬場の職員さん達に御礼を言って火葬場を後にした。
火葬場の職員さん達の温かな心遣いのおかげで、悔いの無いお別れをする事が出来た。
昨日から人の温かさに触れてばかり。
この出会いもまた、たっちゃんが引き寄せてくれたものなのか。
まだ温かいたっちゃんのお骨を、壊さないように膝の上に乗せて家に帰った。
たっちゃんが、お腹の外に出てしまわないか不安で仕方なかった入院期
たっちゃんとの別れが怖かった産後
たっちゃんが、溶けてしまわないか気を張っていた退院後
それらを経て、ようやくひと息付いた。安心した。なんて言うか、ふわふわしたような、夢見心地なような、そんな気持ちで帰路に着いた。