仕事中はなるべく上地さんの事は意識しないようにして毎日何とか過ごしていた。

でも…、時折上地さんの視線を感じる時がある…。


やっぱり変に思われちゃったかな…。


どうしよう…。


ある日の午後、私達は外回りに出て会社に戻ったのが夕方になってしまった。

当然残業になり何とか終わらせてひと息ついた時

「吉野、終わったならメシつきあえ。」

そう言われて前のお店に行った。


食べているとふと上地さんの視線を感じて…、

「上地さん…、どうかしましたか?」
私が聞くと

「いや、何でもない。」

そう言ってまた箸を動かし始めた。


食べ終わってお店を出ると…、上地さんは駅とは反対の方向に歩いて行く。

「あの…、上地さん?」
私が声をかけると…、

「いいから付き合え、話がある。」
そう言って歩いて行く。


何だろう…。

最近は上地さんの事を好きな事は態度に出さないように気をつけていたつもりだけど…。
なんて考えて歩いていると上地さんが振り向いた。

「吉野。」

「は、はい。」

「こんな事言ってお前に笑われるだけかもしれないけど…、俺はお前の事好きだ。」

真っ直ぐ私の事を見つめて上地さんはそう言った…。


―つづく―