上地さんの補佐になって1ヶ月…。
ひと月分の仕事をなんとか失敗する事なくこなす事が出来た。
月末の処理をしていると通りかかった上地さんが私の手元を覗き込み、
「前の奴よりちゃんと仕事出来てるな…。」って呟いた。
私が振り向いた時にはもう自分の席に戻ってしまっていたけど、これって…褒められたの?
この1ヶ月必要以上の事は何も言わなかった上地さんにそんな風に言われてちょっと嬉しくなった。
そんな調子で2ヶ月…、3ヶ月と過ぎて行き、気持ちの上で少し余裕が出て来た頃私は失敗をしてしまった。
請求書の金額を1桁多く打ち込んでそのまま相手先に送るという失敗を…。
いつもはきちんとチェックするのにこの位大丈夫とよく確かめもせずに…。
当然相手先からはクレームの電話が入る。
画面を見て真っ青になっている私を押しのけて上地さんは正しい金額に訂正した請求書を打ち出し封筒に入れると立ち上がった。
「行くぞ。」
「えっ?」
「請求書を差し替えに行くんだよ。さっさと支度しろ。」
慌てて上地さんの後を追う。
上地さんも同行して謝ってくれたおかげであまりごたつかずにすんだ。
帰り道で「上地さん…、申し訳ありません…。」
私が謝ると「これから同じ失敗をしなきゃいい…。わかったな?」
そう言って私の頭をポンと叩いて歩き出した。
もっと怒られると思ったのに…。
立ち止まったままの私に上地さんは振り返って、
「置いてくぞ?」って言葉を投げてきた…。
―つづく―
ひと月分の仕事をなんとか失敗する事なくこなす事が出来た。
月末の処理をしていると通りかかった上地さんが私の手元を覗き込み、
「前の奴よりちゃんと仕事出来てるな…。」って呟いた。
私が振り向いた時にはもう自分の席に戻ってしまっていたけど、これって…褒められたの?
この1ヶ月必要以上の事は何も言わなかった上地さんにそんな風に言われてちょっと嬉しくなった。
そんな調子で2ヶ月…、3ヶ月と過ぎて行き、気持ちの上で少し余裕が出て来た頃私は失敗をしてしまった。
請求書の金額を1桁多く打ち込んでそのまま相手先に送るという失敗を…。
いつもはきちんとチェックするのにこの位大丈夫とよく確かめもせずに…。
当然相手先からはクレームの電話が入る。
画面を見て真っ青になっている私を押しのけて上地さんは正しい金額に訂正した請求書を打ち出し封筒に入れると立ち上がった。
「行くぞ。」
「えっ?」
「請求書を差し替えに行くんだよ。さっさと支度しろ。」
慌てて上地さんの後を追う。
上地さんも同行して謝ってくれたおかげであまりごたつかずにすんだ。
帰り道で「上地さん…、申し訳ありません…。」
私が謝ると「これから同じ失敗をしなきゃいい…。わかったな?」
そう言って私の頭をポンと叩いて歩き出した。
もっと怒られると思ったのに…。
立ち止まったままの私に上地さんは振り返って、
「置いてくぞ?」って言葉を投げてきた…。
―つづく―