「是我意」
ー金剛流の演目よりご紹介ー
能面 大癋見(伝夜叉作)
東京国立博物館所蔵
出典:ColBase
(https://colbase.nich.go.jp/)
前回のニュースレターでご紹介した「絃上」と共に地謡を勤めた「是我意(ゼガイ)」。今までは、強いキャラクターは大体、神様が多かったですが、今回は悪いキャラクターです。これもまた流儀に依って同じ演目でも字が違います。金剛流では「是我意」、宝生、金春、喜多の三流では「是界」、観世流では「善界」と書きます。画像のような顔の是我意坊という大天狗のお話になります。
(ストーリー)
唐の天狗の首領・是我意坊は、仏教の聖地である唐で仏教を堕落させ、日本をも堕落させようとやってくる。愛宕山の天狗・太郎坊と比叡山に向かう。
是我意坊の悪事を聞きつけ、勅命を受けて飯室の僧正がやって来るが、大風に阻まれ、宮中に戻ろうとするとあたりが鳴動し、雷が轟くと、僧正の車をガシっと掴み是我意坊が姿を見せる。是我意坊は僧正を威嚇するが、対して僧正が念仏を唱えると不動明王・十二天が現れます。さらに、石清水八幡宮、松尾大社、北野天満宮などの神の力をもって是我意坊も力を失い羽も落ち雲の中に消え去った。
雷が響く中、是我意坊が登場する場面の囃子を「大癋」といいます。お稽古の時に師匠から聞いた表現が面白かったのでご紹介しようと思います。
この「大癋」、「早笛」という囃子と近く、ものすごく早い様子を表した囃子ですが、
「早笛」をプロペラ機としたら
「大癋」はジャンボジェット機
とのこと。「グオーーー」と動きは速くは見えないけれど、実はものすごく速く飛んでいるといいましょうか。
実際は、こんな感じです。
いかがでしょうか?
ちなみに、早笛はこちら。聞き比べてみてください。
みなさんも、今度、大天狗が出てきて「大癋」が始まったら、ジャンボジェット機を想像して、観ていただければと思います。