今年、頂いた年賀状の中に、差出人、宛名の面が薄墨のものがありました。

もう二、三十年は会っていない同級生から。

薄墨といえば、「涙で墨が薄まってしまいました」という体の、

不祝儀用の灰色の文字です。

 

印字されたソレを見ながら、

「これ、薄墨印刷だよね。途中でインクが足りなくなったとか? 

 私、何か相手を怒らせた………ってことはないよね、会ってないし」

と、いろいろ考えたけど、

実は、真っ先に頭に浮かんだのは、

私のこと、嫌い?

 それとも馬鹿なの?!

だったのでした。

 

実家で母に、

「薄墨の年賀状が来てねえ」と話すと、

母が、

「あら、あんたも? うちもねえ…」と言うのでした。

 

うち、と言っても仕事関係の年賀状だったそうです。

それでちょっとした騒ぎになったようです。

薄墨の年賀状、という矛盾した物体を前に皆で考えたらしい。

そして先方が「喪中ではあるが、会社だから年賀状は出した。でも薄墨にした」

という可能性もある、、、の、かも?

ということで、帳簿でお香典を出した記録があるか確認したり、

先方の先代はご存命だろうか? と記憶を辿ったりしたそうです。

(こちらからは年賀状を出しちゃったよ、ということで。)

結局、先方のご不幸はないらしく。

 

弟は、

「うちは気にしないからいいけどさあ、気にする人は怒るよね」

と、言っていたそうです。

ビジネス的には完全NGですよね。

 

あれから、更に理由を考え

・宛名印刷のとき、黒インクの残りが心もとなくなり、節約のために薄くした

・お洒落にしてみた

などの可能性を考えてみました。

 

でも、自分だって、知らないで常識外れのことをやっているかもしれず、そう考えるとちょっと恐ろしいです。