内田樹@levinassien
日本社会はほんとうに「下品」になりましたね。60~70年代はずいぶん野蛮でワイルドな時代でしたけれど「下品」ではなかった。人間の弱さや卑しさや暴力性を直視することと、それを利用して金を儲けたり権力を手にすることはまったく別のことです。


内田樹@levinassien
少し前までは権力・財貨と文化資本はいちおう「ワンセット」でした。でも、ある時期から(割と最近)、権力と財貨を持つ人間が文化資本をゴミ扱いするようになった。無教養で反知性主義的であることが強者富者になるための「条件」とは言わぬまでも「捷径」だと信じられるようになった。


内田樹@levinassien
「これほど下品なのに金がある」「これほど無教養なのに権力がある」ことが際立った成功例として語られるようになった。ろくでもない社会ですけれど、考えようによっては「権力者が文化資本を独占する気がない」という事態はそれほど悪い話ではありません。


内田樹@levinassien
文化資本には実際には強い現実変成力があるからです。世界の成り立ちと人間のありようについて理解が深いこと、感情が豊かなこと、美的感受性が鋭いこと、どれも世界を変える力の淵源になります。今の日本の富者強者たちは「そんなものには価値がない」と思っている。


内田樹@levinassien
「文化資本で武装する」チャンスだけは多くの人の前に開かれている。「邦に道なき時に富みかつ貴きは恥なり」です。今の日本は「道なき邦」ですから、ことの筋目を通そうとする人は権力と財貨とは無縁にならざるを得ない。でも、文化資本を享受し「品位を保って生きる」機会には豊かに恵まれている。