図南の翼 | FLAP JACK!

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日常を愉快にしたりほんのり幸せにしてくれるものたちを紹介。

“ずっとあると信じていたものが、こんなにも呆気なく崩れてしまうのを目の当たりにしたあなた達が心配だ”
16年前、西宮で被災して2日後にようやく学校に来た当時の担任から、私と友人にかけられた言葉。
当時16歳(!)だった私は、信じていたもの=日常だけだと思っていた。
でも違っていた。奪っていったものはそれだけではなかった。

16年前は火が。今回は水が。
日常だけでなく過去までも容赦なく獲っていってしまった。
心が痛む、では済まされず。
身体が砕け散りそうになり、ただひたすら泣いた。
先日の記事では、気持ちは口に出さないと書いておきながら、あれだけど。
“何や泣きたいんか。そら泣かなしゃあないな”
“泣かんと涙は止まらんわ”
という、両親の昔からの教えをそのままに。


でも何か知らないけど、どうでもいい瑣末なことが合間合間に入ってくるようになって。
(たとえばわんわん泣いてるときに、宅急便(しかも代引き)とか回覧が来たりとか)
ああ、どんなに辛いときでもこんな感じだったなと。
非日常に少しずつ、日常が割り込んできて、侵食される割合が増えていって。
いつの間にか、日々の暮らしのリズムが整えられている。
もちろんこれは飽くまでも私の場合。
でもたぶん、これからもずっとそうだと思う。
節目節目の選択は自分でしつつ、なすがままに生きていく。


少しずつ時間が経ってきて。
被害を受けなかった西日本が、いろんな形で経済を回していこうとしています。
西日本だけではなく、その他のところからも。

いろんな形で、この国を前に進めていこうとしています。
どうかそれらの風が鵬翼となって、ひとりひとりが今を紡ぐことで作り上げる未来を、高く高く舞い上げてくれますように。
厳しいことだらけでも、先にあるものは、悪いものではないはずだから。