家に花ちゃんと二人でいると、イライラが増すし、閉塞感というか、孤独感でいたたまれなくなるので、ついに支援センターに行ってみた。

近所は知り合いに会ったら嫌なので、車で20分くらいの所へ行ってみた。



民家を改造したような作りでキッチンもあったりして、アットホームな感じだった。聞くと午後は学童をしているとのことだった。
第二の家みたいで良いところだなと思った。

花ちゃんも私も緊張で最初はカチカチで、部屋の隅で絵本を手に取り眺めていた。

だんだん花ちゃんは緊張が取れて、あっちこっちへと、あーうー言いながらおもちゃを見ていた。その姿にホッとして嬉しくなり後ろについて一緒におもちゃを眺めた。



家にもあるおままごとの道具があって、でも種類が豊富で花ちゃんは表情には出ないけど、興奮気味に全部出して並べ始めた。

一心不乱に出しては並べ、かなり集中していた。私はトマトだねー、人参だよ、とか言いながら側についていた。


そこに1歳くらいのよちよち歩きの男の子が来て、花ちゃんが並べていた卵のおもちゃを手に取り、投げて遊びだした。


あっやばいかも、と思ったが、男の子から取り返すのもどうかと思い、躊躇してしまった。
男の子のママが注意してくれないかなと見てみたが、あらーと一言いっただけ。

それに気づいた花ちゃん。

一目散にその子に駆け寄り取り返そうと奇声を発しながら、手を出した。

男の子はとられまいと必死。

男の子のママは「かーしーてって言うのよ、かーしーてーね」と花ちゃんにいったが、もう、花ちゃんは癇癪爆発で泣き叫んだ。

男の子のママは、びっくりして卵を返してきて、男の子も怯えたように泣き出してしまった。

「ほら、返してくれたよ、並べよう」と言っても怒りは治まらず床うずくまり、ぎゃー!!と泣き叫んだまま。

こんなときは家ではパンをあげるか、もしくはシナプシュの好きな歌を流してみるか、それかもう泣きつかれるのを待つか、なのだが、ここは支援センター。

周りの目線が痛い。はやく、なんとかしろよ、と言われているような気がして焦った。


ただ見ているだけができず、無意味なのは承知で、トントンと背中を叩いて、周りへのパフォーマンスのためにひたすら優しく声をかけた。何とか花ちゃんを抱っこして帰れそうなタイミングを見計らっていた。


すると保母さんみたいな人が、見かねて抱っこしようとした。

やめて下さい!悪化しちゃう!!と叫んだが、強引に抱っこしてしまった。

花ちゃんはジタバタ抵抗し、完全にパニックになった。

離して下さい!と言って床におろしてもらったら、怒りすぎた花ちゃんは鼻血を出してしまった


あわててハンカチで抑え、花ちゃんを羽交い締めにしながらコートとリュックをとり、玄関へ急いだ。もうここには居られない。増々癇癪が悪化するだけだ。バタバタと帰り支度する私に誰も声掛けしてくれず、泣きそうになった。

スニーカーを履く際に、花ちゃんから一瞬手が離れてしまい、花ちゃんは床にうずくまり床が鼻血で汚れてしまった。
なんでこんな事になるのかと、イライラと悲しみでいっぱいで、再度花ちゃんを担ぎ上げ、挨拶もそこそこに掃除もせず帰って来てしまった。

帰ってからは花ちゃんは流石に疲れたようで、飲まず食わずで眠った。

私もドロドロに疲れて、男の子のママが注意して返してくれていたら、保母さんが無理に抱っこしようとしなかったらとイライラしてしまい、涙が溢れて休めなかった。


花ちゃんの寝顔を見ながら、どんどん悲しくなって、花ちゃんは他の子どもたちや保育者に理解されず、ずっと生き辛い人生なのかもしれない、かわいそうな子だなぁと嗚咽してしまった。私ぐらいは花ちゃんの味方でいなくてはと、決意した。


せっかく雰囲気のよい支援センターだったのにもう二度と行けないなと淋しい。


まだ花ちゃんには支援センターは早かったのかな。