映画「女優」

12月4日10時30分、ちょうど私は入浴中だったのですが

けたたたましい電話のベルで急いでバスタオルに身を包んで

受話器をとりました。

「もしもし七條ですが、夜分遅く本当に申し訳ないのですが

　たってのお願いがあるのですが―」

奈良で現代の名工を受賞された

世界チャンピオンの称号も持つ美容師：七條慶紀さんからでした。

七條さんには私のコレクションのヘアメイクを担当頂いたり

七條さんのショーに衣裳をお貸出ししたりする間柄です。

２０１０中国天津でのショーのフィナーレでの七條さんと私

「来春上海映画祭に出演する日中合作映画『女優』（寺西一浩監督）の

　ラストシーンでトロフィーを新人女優に渡す役で

　しかるべき人が必要なのだが、監督がぜひ桂さんに頼んでみてほしいと

　言っているのでお願いできないか」という内容でした。

日中国交正常化40周年記念作品とのことで、日中合作、

私でよければ協力しないわけにはゆきません。

撮影の日と指定された2日後は重要なスケジュールがいくつも

入っている日ではありましたが皆さんにお許しを頂いて

スケジュールを変更して撮影現場に向かいました。

私はTVドラマにはデザイナー役として2度ほど出演したことがありますが、

映画は初めてです。

現場に行ってみて女優さんはじめ皆さんの大変さがよくわかりました。

ストーリーは第11回全日本美少女コンテストグランプリを

受賞した林丹丹さんで、日本人のお父さんと中国人のお母さんをもつ

バイリンガルです。

そんな丹丹さんが演じる新人女優がさまざまな人生経験を経て

ついに新人女優賞を勝ち取るというもので、

そのラストシーンでトロフィーを私が渡すというものでした。

　林丹丹さんと

撮影は

「本番行きまーす」という監督の声がかかるまで

なんと6回もやりなおしを行いました。

この6回、私はトロフィーを渡してハグをするだけですが、

丹丹さんは涙ながらの長いセリフを6回繰り返し、

長いドレスのすそを持ち上げながら階段を下り去っていくという動作を

繰り返さなければいけなかったのです。

はたからみると華やかなスターの生活に見えますが

その陰にはこうした努力の積み重ねがあるのだと

改めて感動させられました。

久しぶりに中野良子さんや秋吉久子さんともお会いして

緊張したうちにもにぎやかな雰囲気の中で撮影は終了しました。

寺西監督と

来年5月に上海映画祭に出品された後

日本でも6月には公開されるそうです。

ぜひ皆さんもご覧になってください。

映画公式HP：http://www.jyoyu-kodansha.com/