先月24日、定期通院でお世話になっているクリニックのすぐ隣にある調剤薬局で薬を受け取った時のことです。


窓口でおくすり手帳と処方箋を提出し、マイナンバーカードによる本人確認をして薬ができあがるまで待ち合いスペースで待機し、名前、もしくは受付番号を呼ばれて受け取り窓口で受け取り会計へ……というのが調剤薬局での一連の流れですが、事件がおきたのは薬を受け取った直後。私より若いと思われる女性薬剤師さんが決済方法について確認する際、

「お支払いは、現金になさいますか?」 

という聞き方をしてきました。その調剤薬局では現金以外に、電子マネーやスマホ決済、クレジット決済などにも対応していて私もその時の都合で選んでいます。なのに、他のお客さんには「お支払いはいかがなさいますか?」と選択の余地を与え、私には選択させずに決済方法を限定した聞き方で、もし気遣いのつもりなのだとしたら大きな間違いです。結局会計は別の女性事務員さんが対応し、スマホ決済を選択しました。 


あの聞き方は、いったいどういうつもりなのか…… 


 失礼極まりないです(`Δ´)


昔は、そもそも決済方法が現金とクレジットカードしかなく、よほど高額の買い物でない限り現金決済だったので今回のような聞き方をされることはなかった。決済方法の選択肢が豊富になった今も、近々細かいお金が必要だったり、電子マネーやスマホ決済に抵抗を感じるなどの理由で現金決済を選択するケースもあると思います。ただ、そうして選択肢が豊富だからこそ、ちょっとした聞き方でお客さん側の解釈はいくつにも分かれてしまうのですから、確認する時は相手がどんな人であれ、対応している決済方法を説明したうえで、
「お支払いはいかがなさいますか?」
と聞く、あるいは、今回みたいに「現金になさいますか?」と発してしまったならその後すぐに「それとも別の方法になさいますか?」と続けるなり、誤解を招かないための聞き方をもっと工夫すべきではないかと思います。


別に、現金なら現金でもいいし他の方法にするならやんわりそのように伝えればよいことで、何もそこまでムキにならなくてもいいんじゃないの?


そういう意見も当然あると思いますし、間違いではないんです。現に私も、その時は「一応ね、私も決済手段はいくつか用意していてその中で考え中なのよ」といってすませたのですが、その時彼女が発した言葉に含まれたニュアンスが、私には、白杖をもっていることで、現金以外の決済方法に対応できないものと決めつけられたようにとれてしまったのです。それを言うなら、何円札、何円硬貨を出したか見た目にわかりづらかったり、特に紙幣は触って識別しにくかったりでかえって現金決済の方がトラブルがおきやすいです。私はまだ、左目のわずかな視力で何とか対応できていますが全盲の人は一つ一つ触って確認しないとならず、実際にそういう弱点をついた悲しい事件がおこることもあるようです。


なぜそんなネガティブにとってしまうかというと、その調剤薬局では前回(1月28日)にもかなり失礼な対応をされたからです。その時は、マイナンバーカードの所持状況を確認する際、まるでマイナンバーカードの所持状況も把握できない、身辺の管理もできないと決めつけるような対応をされてぶちきれたのです。健康保険証とマイナンバーカードの一体化が今年の秋にも実施されるのを受けて、医療機関や調剤薬局ではマイナンバーカードの所持状況を確認していますね。マイナンバーカードがない人にはそれなりの対応方法があるのだと思いますが、健康保険証とマイナンバーカードの一体化についてある程度把握しているとはいえマイナンバーカードという、ダイレクトに個人情報に関わる情報を何の前触れもなしにいきなり聞かれると多かれ少なかれびっくりするわけで、聞く前に、健康保険証とマイナンバーカードの一体化についての説明や、「皆様にお聞きしているのですが」、「つかぬことをお聞きしますが」などといった一言を付け加えるのが常識なのにそれも全くなかったんです。マイナンバーカードの有無を聞かれた時に瞬間返答が遅れたのはそのせいだったのに、今回とは別の女性薬剤師さんはその隙間を狙うかのように、「マイナンバーカードはお持ちでらっしゃる……」と聞いたかと思ったら私の白杖を見て間髪入れずに「あ、わからない」と言ってきたのです!さすがに我慢できなくなった私は人目も憚らずカウンターの台を思い切り叩き、「人が答えようとしている時に、あ、わからない……ってどういうこと?」と一喝(`Δ´) それでも彼女は「どこ吹く風」という感じで、謝罪どころか、「何そんな怒ってるのかなぁ?」とでも言いたげな雰囲気を存分に出していました。このことをその調剤薬局の本部にお伝えし、のちに店長さんから電話で謝罪がありました。本来ならこの時点でサヨナラなんですが、改善がみられたか確認したかったので今回も同じ薬局を訪れるもこのありさま……(^^; つまり、その調剤薬局では前回、今回と2回連続で差別的な対応をされたわけです。


日常生活において障害者が感じるバリアに、物理的バリア、情報のバリア、制度的バリア、心のバリアの4つがありますが、表示が見えづらい、段差の有無といった物理的なバリア以上に、最も解決が難しい、こういった心のバリアと一生闘わないとなりません。色んな人がいる以上避けて通れず、「人は人だから……」と受け流してしまえばよいことなのも事実で、そんなふうに思える心の器があればだいぶストレスが軽減できるのになあと思いながらも、同居家族が視覚障害者のみで、はっきりいって親戚は協力的ではなくそれぞれ自分で乗り越えていかなければならない環境にいる私はどうしても、細かい部分まで感じ取ってしまう癖が抜けない……(^^; 突き詰めればきりがないことこそ障ってしまう心の傷の痛みに、必死に耐えているのが現状です。


前回同様、私はその調剤薬局の本部宛に今回の対応の一部始終をお伝えしました。すると数日後、その調剤薬局のエリアチーフであり現役薬剤師でもある男性の方からお電話をいただき、私の事情を真摯に受け止めてくださっていることがよくわかる対応でホッとしました。そして、次回の通院日である5月19日には彼がお店に出向き、様子を見てくださることになりました。そんなわけで次回の通院の際もその調剤薬局に行くことになります。スタッフさんたちもその時は、ボスの監視下におかれるのでいい子になるでしょうが、さらにその次(7月)に行って前回や今回のようなことがあれば今度こそサヨナラし、速やかに他の薬局に切り替えます。ただ、日曜日に処方箋を受け付けているかどうかという問題はありますが……。


彼がしきりに言っていたのは、そこのスタッフには優しさが足りないということ。私も、ここ2回はたまたま逆鱗に触れる結果となってしまいましたが実はその前から、ここのスタッフ同士の人間関係ってどうなっているの?と疑問に思ったことがあります。なんだか投げやりというか、「そこまで言うならやってくれてもいいのに……」と思ったことがあるのですが、そんな彼女たちの上司にあたる彼からみても決して感じがよいとはいえず、すべて自分の責任だと言っています。店内に設置されているカメラが対応の一部始終をとらえていて、前回と今回の記録ももちろん残っていてそれを細かくチェックされていたようです。カメラチェックなんてさすが今時だなあと思いますが、それを見ても、特に前回のマイナンバーカードの一件は明らかに女性薬剤師に非があるとのことでかなり怒っておられたので、ひとまず私の被害妄想ではないことが証明されることとなりました。私はそれを聞いて、心からホッとしたのと同時に、本当の優しさって何だろうと改めて思いました。かくいう私も長いことマッサージという、人の体に触れる仕事をしています。それこそさりげない優しさも問われるし、仕事以外の場面でも優しさは忘れずにいたいとは思えども、それがどこまで行き届いているのかなあと……
優しさって、これまた角度が様々で実に難しいです。なんでもかんでも「してあげる」、幼い子供に接する時のようなトーンなど表面的な優しさだけで「我こそ誰より優しいのだ」と思い込んでいる人もいれば、ごく自然でさりげなく適切なフォローをしてくれる人もいる。その時々でそれなりの感情が表れますが、色んなタイプの人との出会いはとても大切で、私自身も自分を見つめ直したり、学んだりすることが多く刺激的でなんだかんだいって楽しいです。


通院でお世話になっているクリニックは、医療スタッフや事務員さんの対応が、私の見え方にマッチしていてとても感じがよいです。会計は専用端末で行いますが、わからなくなればさっときて教えてくださり、そのおかげでようやく操作に慣れて自力で会計できるようになりました。先日は、まことにお恥ずかしながら次回の予約日時が書かれた紙をひらひら~っと床に舞わせてしまったようで、受付の事務員さんがさっと拾って渡してくださいました。私もこういう対応が自然にできる人になりたいと思う次第です。今後も概ね2ヶ月に一度お世話になるであろうクリニックなので、とても助かります。


いい部分はどんどん真似をし、不快に感じたことはそれを反面教師としてとらえ、これからもますます成長を続けたいです。