生と私

経験

初めての経験をした。

ホテルに誘われた。


その当時、

真剣につきあっていた彼に。


彼は九州、福岡県の生まれ。

色黒でガッチリした体格は

まさに警察官に打ってつけでした。


最初は晩ご飯を食べに

行くところから

始まった。


私は二十代前半だった。

彼は三十代前半。


一番最初に行った

ステーキハウスは

その後もよく行った。


コロコロステーキが

お気に入りで、

サラダバーがあったのが、

また、嬉しかった。


日本一長い吊り橋がある

奈良県の十津川にも行った。


吊り橋が凄く怖くて、

足が竦みそうだった。


近くの箕面の滝を観に

行ったりして、

ご飯を食べに行ったり、


ドライブに行くのが好きでした。


その頃、世間を騒がす事件があって

お仕事も忙しかった彼。


仕事終わりなど、

あらかじめ、約束して置いて、

晩ご飯を食べに行ったものでした。


今みたいに携帯がない時代、

電話するのも、ドキドキしていた。


こちらから、

かける時も寮だから、

呼び出しだったし、


家にかかってきても、

近くに家の人たちが

居るのでドキドキしながら、

喋っていたなぁ。


今の若い人たちには、

分からないでしょうね。


だから、

余計に大切な時間だった。


ある日の夕方、

河原の土手の芝生の上で

寝転がって話しをしていた。


確か夏だったけど、

辺りが薄暗くなってきた。


帰ろうか、と

車に乗りしばらく走った。


「ホテルに行こう」と言われた。


えっ、ホテルって


そう思っているうちに、

建物の中に入っていました。


そして、

「さあ、行こう」って言われて


私は、いった。


「結婚するかも、わからへんのに嫌です。」


そう言ってしまった。

ただ、怖くて言ってしまった。


初めての経験を

そんなに簡単に考えれなかった。


まだまだ、子供過ぎて、

大人の彼を困らせて、

傷つけてしまった


真面目過ぎて、

母も厳しかったから、


大切なものを

そんなに簡単に考えて、

飛び込めなかった私


男の人の心と身体の事など

考える余裕もなくて、


あの時の事を考えると、

もし、ホテルに入って

受け入れていたら、


今の私はいないかなぁと


彼は

私のそんな気持ち

分かってくれたのかなぁ。


結婚を約束しないと、

受け入れられない、

受け入れては駄目だって言うのは、


私が世間知らずだったのだろうか。


真面目な彼が

きっと勇気を振り絞って

誘ったのだろうに


それも、理解出来なかったね。


本当にごめんなさい。

傷つけてしまったね。


彼は、今幸せに

暮らしているだろうか?


確か、故郷に帰ったと聞いていた。


愛をありがとう。




                                  



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