本好き少年は迷宮に挑む | ドリームのイマジンブック

ドリームのイマジンブック

ここはイマジンワールドと現実世界を結ぶ、狭間の空間。
そこではドリームが自分やイマジンワールドにいる誰かの想いを伝える「案内人」として活動している。
この本はそんな世界をつなぐ鍵となっている。

 

—前回のあらすじ—

聖地巡礼ツアーもいよいよ終盤...。スキルも上手く使えるようになったし、フィル団長に応援されちゃったから頑張らないと!

 


 

ジングルベ~ル、ジングルベ~ル すずが~なる~

 

僕は軽快に歌いながらそりで移動する。見ての通り、魔法も使いこなせるようになった。これならクリアできるかもしれない...!

 

<ラビリンスルインに到着しました>

 

ここが...ゆめっちとホープが行った場所、ラビリンスルイン...!!

 

(そう言えば、参加資格とかってあったりするのかな...?)

 

小説ではその辺の描写があまりなかったのを思い出し、心配になった。...そうだ、ナビに聞いてみよう。

 

「トレジャーハントのことって...どこに書いてあるの?」

 

<トレジャーハントの概要は受付のそばにあります>

<バトルが伴うアトラクションのため、一度見ておくことを推奨します>

 

そうだった、確か小説でもゆめっち達はバトルしていた。それくらい危険なアトラクションなら、注意書きが多いのは確実だろう。早速、読んでみよう。

 

アトラクション「トレジャーハント」

 

このアトラクションは制限時間(10分)内に宝箱を多く見つけ、出口まで脱出できればクリアとなります。道中で出会うモンスターを倒しても宝箱をゲットできます。宝箱の中身はクリア後のお楽しみ!

 

概要

   参加料:100ドリ

バトルタイプ:RPG

コンテニュー:ダンジョンによる

 クリア報酬:クリスタルハート

 

参加条件

・バトルスタイルの設定

・習得スキル3つ以上推奨(スキルなしでもクリア可能ですが、オススメしません)

・所持金300ドリ以上(コンテニュー用に余裕をもたせておいてください)

 

禁止事項

・移動短縮アイテムの使用(ダンジョンが壊れる危険性があるため)

・スキル「テレポート」の使用

・妨害系スキルの使用

・ダンジョンの壁を壊す

 

なるほど、参加するには400ドリ以上必要なのか...あれ?もしかして、フィル団長からもらったチップが無かったら、参加出来なかったってこと!?

 

(フィル団長ありがとうございます!このチップ、ありがたく使わせて頂きます...!)

 

「それにしてもすごいなぁ...広すぎて迷子になりそう...」

 

受付を済ませた僕はダンジョンの入り口に向かう道中で、イマジンワールドとモンスターの歴史について書かれたパネルを読んでいた。

 

 

遠い昔、モンスター達は魔王によって操られていたという。魔王の目的はただ一つ、イマジンワールドの征服だった。そのための兵力としてモンスター達を利用したそうだ。しかし、勇者ライヤの登場によってその野望は打ち砕かれる。

 

魔王が倒されたことで洗脳が解け、自由を得たモンスター達はもう戦争しないと約束した。そして、ドリームメイトが強くなるための試練として、モンスター達が戦い方を指南する場所が後のラビリンスルインだといわれている。

 

 

読んでいるとあっという間にダンジョンの入り口に着いてしまった。もうすぐ、僕の"試練"が始まるのか...。気を引き締めていこう。

 


さぁ、挑戦者たちが全員揃いました!

果たして、お宝を持って帰ることはできるのか!?

実況はわたくし、棒人間のスチールがいたします

 

挑戦者たちがゲートの前に立ちました!

どのような活躍を見せてくれるのか、楽しみです!

さぁ!開始のカウントを始めましょうか!

 

3………2……………1……………………………スタートです!!!


 

僕は開始の合図と共に前へと走っていった。...流石は迷宮ラビリンス、来た道が分からなくなりそうなくらい複雑に入り込んでいる。

 

<ダンジョンのマップを表示します>

 

フレンドリングに僕が今まで通った場所が表示された。これなら同じ道を歩く心配がない。さらに進んで行くと、その先で待ち構えていたのは...スフィンクス!?ここ、エジプトだったっけ!?

 


 おおーっと!

こちらの挑戦者はスフィンクスとご対面した様子!

一体どんな問いを投げ掛けるのでしょうか!?


 

「我が問いに答えよ。2+1+1は4だ。しかし、この答えが1になる時がある。それはどんな時だ?」

 

「えっ!?えぇ~っと...」

 


これは...なぞなぞでしょうか?

2+1+1は4になるけど1にもなる...?

う~ん、どういうことでしょう?


 

...もしかしてこれ、計算問題ではないのでは?

だとすると、2個と1個と1個を合わせると1個になるものは...。

 

「分かった!答えは...スモアだ!」

 

「ほう...それはなぜだ?」

 

「スモアは2個のクラッカーとマシュマロ、チョコレートで出来ているからです!これらを合わせると1個のスモアが完成します!」

 

「...お見事、正解だ。宝箱を受け取り、先に進むがよい」

 


見事スフィンクスの問いに正解し、宝箱をゲットしました!

なるほど、答えはスモアですか...

確かに、スモアはマシュマロとチョコレートをクラッカーで挟んで作りますね

常識に囚われない自由な発想が、この状況を打破しました!



「そう言えば、今って残り何分?」

 

<残り時間8分です>

 

時間に余裕はあるが油断はできない。宝箱を見つけつつ出口を探そう。

 

~~~~~~

 


さぁ、残り時間が半分を過ぎました!

そろそろ出口を見つけた方がいいかもしれま...おやおや?

先ほどスフィンクスの問いに正解した挑戦者が氷漬けになっていますが、モンスターに凍らされたのでしょうか...?


 

(しまった...囲まれた!)

 

...スチールさん、僕はモンスターに凍らされていません。自ら凍りました...。

 

道中に落ちていた宝箱を2個拾ったところで出口が目の前にあったのだが...大量のモンスター達に出くわし、追いかけられしまったのだ。逃げるのに疲れた僕は、慌ててアイスシールドを張ったのが今の状況だ。

 

『オーイ、出テコーイ!』

 

モンスター達は氷を壊そうと何度も叩いている。バリアが壊れるまでにどうにかして考えないと...!

 

(スノーダンスで雪に沈める?!いや、そんなことしたら出口が塞がっちゃう!かといってスノーだとそんなに多くは落とせないし...。そりすべりで逃げる?...ダメだ、あれは出だしが遅いんだった。う~ん.........)

 

そうこうしているうちにバリアが壊れかけている。こうなったら、あのスキルに賭けるしかない...!

 

 ――バリーーン!!

 

「...聖なる女王様 おー、マーリーア

 

慈悲と慈愛のー聖母よー おー、マーリーア

 

モンスターの動きが止まった!これならいけるかもしれない!

 

たーたーえーよー ケールビーム

 

うーたーえーよー セーラーフィーム

 

このおーもいをー うーたーにー!

 

こーめてー ひーびーけー!

 

どーこ、まーでーーも!!

 

(よし、今のうちに逃げよう!!)

 

逃げようと走り出したその時、事態は思わぬ方向に転換した。なんと、モンスター達が歌い返してくれたのだ。

 

(ど、どどど...どうしよう...。なんか逃げるのが気まずくなっちゃったなぁ...)

 

僕は歌いながら出口へと向かう。その様子はパレードそのものだった。それにしても、なんでモンスター達がこの歌を知っているのだろうか...?

 

堂々として  マエストーソ!!』

 


ゴーーーール!!!

まさかのモンスターと歌いながらゴールしました!

こんなゴールはフィル団長以来です!

このドリームメイトは、マエストーソの団員なのでしょうか!?

あれ?マエストーソは棒人間しか入れないはずでは...?

 

それはさておき、開封タイムに入りましょう!

一体何が入っているんでしょうか!?

 

オーープン!!!


 

僕が手に入れた3つの宝箱の中身は...

たくさんの小さな宝石、小さなメモ帳と青いインクの出るボールペン、そして...

 

「これは...?」

 

<これはギモーヴです>

<フルーツ味のマシュマロといったところでしょうか>

 

「これ、食べても大丈夫なの...?」

 

<ご安心ください!賞味期限内ですよ!>

 

「う、うん...。いただきます...」

 

—パクッ...

 

「おいしい~!」

 

初めて聞いたお菓子だけど、意外といけるかもしれない。現実世界リアルで食べたらもっと美味しいのだろうか?

 

(はぁ~!しあわせ~~...)

 

〈アチーブメント入手:「試練を乗り越えし者」、「モンスターパレード」、「古のお菓子」〉

 

 

————————ピピピピピピピピ...!!

 

 

~つづく~