ドリームのイマジンブック

ドリームのイマジンブック

ここはイマジンワールドと現実世界を結ぶ、狭間の空間。
そこではドリームが自分やイマジンワールドにいる誰かの想いを伝える「案内人」として活動している。
この本はそんな世界をつなぐ鍵となっている。

 
 
「え、今4月...?にしては寒すぎない!?」
 
 
春の気配が一切感じられない4月の朝。重い体を起こし、朝の支度を進める。この時期になると、新しいことが始まるのは定番だ。そうだ、新しいことといえば...
 
 
 
「えー、これから卒業課題についての説明しまーす」
 
 
 
(とうとう来たか..."アレ"が)
 
(うん、来てしまったね)
 
(もうそんなに経っちまったのか...時間の流れは残酷だな)
 
 
 
「まず、うちの学科から2、3人のグループを作って、そこから他学科のグループとも組んでもらう。だいたい8から10人くらいになるな。」
 
 
 
私の学校では、他の学科の人とグループを組んで卒業課題に取り組む。事前にテーマは決められており、それを選ぶことでグループが決定する。どのテーマも魅力的で、悩ましいものばかりだ。
 
 
 
 
(ゆめっち、よく分かんないけど...どれもすごいね!ドリームはどれにするの?)
 
(うーん、そうだな...)
 
 
 
「焙煎機一択だろ」
 
 
 
(え、あんた本気で言ってる?)
 
 
 
「これ選べばコーヒー飲み放題が確定したようなもんだろ?」
 
 
 
(あのさぁ...あんたは平気かもしんないけど、私がダメなの分かってる?)
 
 
 
私がこう言うのにはワケがある。それは、今から約3年前のこと...
 
 
 
 
 
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私は一時期、カフェ巡りにハマっていた。休日になると決まって周辺のカフェに訪れ、様々なものを食べていた。そんなある日、私は何を思ったのかアイスコーヒーの飲み比べをすることにした。比較対象は一番値段が安かったブラックを2杯(12オンスと14オンスだったような)。その結果...
 
 
 
「はぁ......はぁ..................!!」
 
 
 
...カフェイン中毒で死の淵を見ることになってしまったのだ。夜は一切眠れず、ただひたすら水を飲んではトイレに駆け込みを繰り返した。体が本能的に「水を飲まないと死ぬ」と動いたのだろう。朝になった途端、ワケも分からず自転車で5km近い距離を走らせていた。
 
帰ってきた頃には元気になったが、後からネットで調べるとカフェイン中毒になっていたことが判明。なった際の対処方法は「なるべく早い段階で水を飲んだり運動して体外に排出すること」。皆さんもカフェインの摂りすぎにはお気をつけて...。
 
 
 
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もうコーヒーだけは勘弁してほしい。ようやくカフェオレがギリギリ飲めるまでに克服したというのに、あのトラウマを蘇らせる気なのだろうか。
 
 
 
「...よし、書き終わったから出しに行くか~」
 
 
 
いつの間にかルーラが勝手にアンケートを提出してしまった。私の意見はガン無視のようだ。そしてグループ分けが決まった時、狭間の空間でマグカップが割れる音がした。
 
 
 
 
「嘘...だろ?おいおいマジかよ!なんで違うとこ入ってんだよ!?」
 
「ふっ、ざまあ」
 
「あーもうやる気失せたわ、やってらんねー...」
 
「ふーん、あっ..........うわっ!?」
 
 
 
彼のことを鼻で笑った瞬間、地面に叩き付けられる感覚がした。まるで、その場だけ重力が強くなったかのようだ。
 
 
 
 
 
「ぐ、ぐふぉっ...........お、重い............」
 
「う......動け......な.....」
 
「あー...だーりー...」
 
 
 
 
 
原因は彼がやる気を失くしたこと、たったそれだけ。たったそれだけで、狭間の空間は不安定になってしまう。影響はそれだけではない。
 
 
 
 
「あれ...?なんか体がだるい...」
 
(ドリーム大丈夫?すごく元気なさそうだけど...)
 
「大丈夫、なんとかなるから」
 
(本当に大丈夫?)
 
「うん、やる気なくてもやるしかないから」
 
 
 
現実世界にいる時に体が鉛のように重く、心も沈む。つまり、私のモチベーションが下がるということである。こうなると、しばらくは何もできない。具現化する想像力もなければ、パソコンを打つ気力もない。そんな状態が1ヵ月近く続いた。しかし、そんな私に救いの手(?)が舞い降りる。
 
 
 
 
『お疲れ~』
 
「いやー、今日はマジで疲れた」
 
「私もー」
 
「授業ダルすぎてやってらんないぞい」
 
「ゆめっち、ダルすぎていつの間にか寝てただぞい」
 
「寝てたんかい!」
 
「だって、君と話してると時間過ぎるの早いから寝不足になるんだもん」
 
「分かる、すっごく分かる」
 
 
 
 
 
友達との何気ない会話が、私の心を少しだけ軽くしてくれる。少し変わった出会い方をしたけれど、今思うと必然だったのかもしれない。だから...
 
 
 
 
 
「ゆめっち、どうした?」
 
「ううん、なんでもない」
 
 
 
 
 
この時間を大切にしたい、そう思うのだ。ただ一人、不服そうに見ている者を除いて...。