五十肩や肩関節痛の症状は幾つかありますが、ちょっとした動作や刺激で、あるいは油断していたときに突然激痛に襲われる症状もあります。
 ですから本人はいつも緊張しながら動作をするようになってしまいますので、それがまた肩関節痛を悪化させる原因になってしまうことも考えられます。

 肩甲骨には小円筋があります。肩関節を安定化させ、外旋に働く筋肉とされていますが、この小さな筋肉が何かの理由でこわばってしまった状態になっていると、このような症状を呈することがあります。

 

 小円筋は手の第1背側骨間筋、肘関節の回外筋と連動しますので、母趾や示指がぐらついて歪んでいたり、肘関節が歪んでいいるなどの理由でこわばることがあります。しかしながらおそらくこれらの理由で小円筋がこわばっている場合は、このような症状は顕さないと思われます。

 本日来店された方の場合、小円筋がこわばっている理由は同側の内腹斜筋のこわばりによって胸郭が歪んでいることによるものでした。
 そして、内腹斜筋がこわばっている理由は足の母趾外転筋のこわばりによるものでした。(母趾外転筋―後脛骨筋―内腹斜筋―上腕筋という連動関係)

 ここで母趾外転筋のこわばりをゆるめて解消することでも症状は改善しますが、「どうして母趾外転筋がこわばっているのか?」という理由を考えたとき、この方は長年内股で歩く癖を持っていたこともあって母趾内転筋や膝窩筋がこわばっています。母趾内転筋のこわばりによって母趾は内転位にありますので、それによって母趾外転筋がこわばった状態になっていると考えられます。
 最終的には、膝窩筋のこわばりを解消するために鵞足の筋肉群を調整しました。

 これによって小円筋のこわばりが解消し、肩周りの緊張も取れたようです。

 ちなみにこの方は50歳の女性であり、体質の変化による本来の意味での五十肩で苦しんでいますが、「肩周りに少し余裕ができてリラックスできるようになった」と仰っていました。