75歳の女性は、からだのあちらこちらが痛いと訴えていました。特に腰痛に悩まされているようです。さらに頻尿が酷いと言っていました。(施術の前と後にトイレに行きました。)
その腰痛は、動いたり作業をしたりすると次第に痛くなって立っていられなくなるタイプの腰痛です。
そして久々に「どこからアプローチしていけば良いだろうか?」と考えてしまう施術となりました。
通常行っている腰痛を改善するための施術を行っても、全身に感じる痛み辛さをかいぜんすることはできそうもないと思いました。
そこで「頻尿」、つまり膀胱、というキーワードを念頭に施術を組み立てるようにしました。
膀胱のある場所は鼡径部です。案の上、鼡径部(鼡径靱帯)は強くこわばっていて、それは股関節の不具合や腰痛にも関係します。
鼡径部がこわばっている場合、小殿筋は要となる筋肉の一つです。もう一つは大腿方形筋あるいは内閉鎖筋です。小殿筋は大腿骨を内旋するように働きますが、大腿方形筋や内閉鎖筋は大転子を外旋するように働きます。もし、小殿筋も大腿方形筋もない閉鎖筋もこわばっていた場合、大腿骨には内旋力と外旋力の両方の力が掛かるの大転子はにっちもさっちもいかない状態に拘束された状態になりますが、それは鼡径部をこわばらせる理由となります。
使い続けると疲労してきて痛みを生じるタイプの腰痛では、痛みを感じ恥じると足底に力を入れてこらえるようなイメージが浮かびます。ですから、足底と股関節の関係を考えました。
そして、最終的に長腓骨筋の停止(足底の母趾中足骨、内側楔状骨)を施術しました。この部分が非常に強くこわばっていましたが、それは大腿筋膜張筋のこわばりとして股関節に影響を与えます。さらに長趾屈筋もこわばっていましたが、それによって膝関節が歪み膝窩筋にこわばりをもたらしていました。膝窩筋は小殿筋に連動するので股関節の内旋力となります。ちなみに大腿筋膜張筋も内旋力です。
また、長趾屈筋のこわばりは短内転筋にこわばりをもたらし、股関節を外旋する力となります。
以上、大腿筋膜張筋と小殿筋の内旋力と短内転筋の外旋力(実は他にも外旋力がありましたが)の両方が股関節に掛かったために鼡径部がこわばっていると判断しました。
そして、長腓骨筋停止部のへの施術と長趾屈筋をゆるめる施術を行いました。
おそらく経験したことのない人は解らないと思いますが、長腓骨筋停止が強くこわばっている場合、それを指圧でゆるめるわけですが、それはものすごい痛みを伴います。
この75歳の女性には、その痛みに右足も左足も耐えていただきました。
そして、その甲斐あって、施術が終わったときには股関節の状態がよくなって腰痛や下半身のむくみも良くなりましたが、鼡径部がゆるんだことで全身的に緊張がとれてリラックスした状態となりました。首や肩や背中や下半身などガチガチだった筋肉がみなリラックスしましたので、全身的な痛みも改善しました。