初めて土地を探すとき、誰もが気がついていながらはまってしまう落とし穴があります。
それは、最初は、建物の値段を知らないまま、土地をさがさなければいけないという落とし穴です。
 
この落とし穴にハマると、
 
土地に予算をかけすぎて、建物に回すお金が残っていないゲッソリ
 
となります。
実際そういう方の、なんと多いことかショボーン
 
 
まあね。気持ちはわかりますよ。
少しでも通勤時間が短い場所の方がいいし、少しでも駅に近い土地の方がいいし、少しでも広い方がいいし、少しでも環境がいい土地の方がいい。
で、そうやって土地を選んだ結果、建物予算が残ってない、と。
 
設計事務所時代にも、某ハウスメーカーや某工務店でお世話になっていた時にも、そういうお客様、たくさんいました。
予算総額5000万です。3000万円の土地買いました。残り2000万円で、いい家が欲しいんですおねがいと。
 
土地の仲介手数料と登記費用払って、住宅ローンの保証料か事務手数料払って、 地盤調査してもしかしたら地盤改良が必要で、そのほかにも諸費用はかかるし消費税だってバカにならない・・そうやって差し引いていくと、建物予算は1500万円を割り込んでしまった、というお客様を、実際に何人もお見かけしてきました。
 
1500万円あれば、工事価格も高騰している2019年上半期現在でも、建売レベルの家ならなんとか建つかもしれません。
しかし、建売で良いなら、土地なんか探さないで、初めから建売探してますよね?
皆さん、自分専用の、納得できる家が欲しくて、土地から探しているんですよね?
だったら、きちんとした家が作れる予算は残しておかなければ、本末転倒じゃありません?
 
 
本来であれば、自分たちが住みたいと思う家がいくらで建つのか、先に知っておかなければ、手持ちの予算のうちいくらまで土地にかけていいのか、わかるはずがありません。
しかし一方で、特にハウスメーカーさんや工務店さんは、具体的な土地がないと、本腰を入れて相談に乗ってはくれません。
土地が先か、建物予算が先か。まさに鶏たまご論争のような落とし穴が、大きな口を開けて待っているわけです。
 
* * *
 
そこで、仮の候補地をひとつみつけて、工務店やハウスメーカー、建築家のもとへ持ち込み、ざっくりとしたプランを作ってもらってはどうか?と、オススメしたいかと。
 
プラン作成の段階で費用を取るハウスメーカーもありますが、ほとんどの工務店さんやハウスメーカーは、(営業活動の一環として)無料でファーストプランと概算見積もりをだしてくれます。
 
!さらに、工事費以外の諸費用も、「家づくり予算書」というような書式にまとめてくれる、はず。
 
 
建物工事の概算見積もりと諸費用の金額を見て、もし「予算が足りない!」となったら、無理にその土地を買う必要はありません。予算の配分を見直して、ぜひ土地探しからやり直してください。
 
 
!実際には、土地はそのまま変えずに、予算に収まる金額で建物を建ててくれる業者を探す方が非常に多くいらっしゃいます。
予算ありきなので、何かを諦めたり、妥協を余儀なくされることが多くなります。一生で一番高い買い物なのに、出来上がるのは妥協の産物、というのは、少し悲しい気がします。
なかでも最悪なのは「もう土地は購入してしまいました」というパターン。予算がどんなに足りなかろうと、どれだけ妥協を強いられようと、その土地で建物を建てざるを得ません。土地の売買契約は、家づくりのポイントオブノーリターン(帰還不能点)です。くれぐれも慎重に。
 
* * *
 
仮の候補地とはいえ、実際の土地を使ってプロの方に相談し、自分たちが望んでいる家について家族で考え、プロのアイデアをみて、さらに自分たちのイメージを膨らませていくというのは、とても楽しく有益な体験だと思います。
家族のあいだて意見調整したり、ときにはケンカしてみるのも、それはそれで貴重な経験です。
せっかくたてるなら「こんな家に住みたかった」と思える家にしたいもの。皆さんの理想の家は、どんな家なのか、プロの皆さんの知恵も借りながら、ぜひ考えてみてください。
 
* * *
 
もし、土地代と建物工事費、諸費用の合計が予算を上回ってしまい、振りだしにもどって土地探しからやり直すとしても、その前にやっておきたいことがひとつあります。
入手してある土地の資料と建物図面、概算見積書をつかって、いくつかの金融機関に、仮審査を申し込むこと、です。
 
仮審査は、土地の情報と建物の図面、見積書が揃っていなければ、受けることができません。一方で、仮審査に通ったからといってもそのまま本審査に進まなければならないわけでもありません。
この絶好のチャンスに、「○千万円のローンの仮審査は通ったことがある」という実績を手に入れてしまいましょう
次に本命の土地が見つかった時、買付申込書をだすまでのスピードが、圧倒的に早くなります。
早い者勝ちの土地購入にあっては、スピードは強力な武器。
ぜひこのチャンスに、手に入れておきましょう。
 
つづきを読む⇒