愛猫ゆめを失ってから1週間。
抜け殻のようにフラフラながら、なんとか出勤はしていた建築士夫でしたが、家に帰るとため息をついたり突然泣き出したり(じつは仕事中にも泣き出したりしていた)、半端ない落ち込みぶりで、このまま鬱になるんじゃないかという状態。
心配になった建築士妻が、急遽思い立ったのが、真鶴にある妻父のお墓に参ったあと、小田原のホテルで一泊する小旅行でした。

もともと私たちは旅行好きです。
「旅と旅の合間に。猫と陽だまりと美味しいご飯がある暮らし」をしたいと考えています。
例年ですと冬のあいだは、休みのたびにスキーへ出かける生活なのですが、まだちょっとそういうアクティブな気分にはなれません。
温泉に浸かって美味しいものを食べて、少しのんびりしてはどう?と考えて、妻が誘ってくれたのでした。

妻の父は、20年前に、まだ58歳で他界しました。
子供たちはすでに自立していたとはいえ、色々心残りや無念もあったのではないかと思います。
家を建てるよ、と報告しに来た娘を見て、少しは安心してもらえたでしょうか?

妻父のお墓は、生まれ故郷の湯河原を遠く見晴らす高台にあります。

湯河原といえば梅の名所ですが、お墓でも咲きはじめの梅を見ることができました。

お参りを終えたあと、お昼は、近くの福浦漁港にあるみなと食堂にお邪魔しました。
金目鯛の干物定食をたのんだところ、見たことないような巨大な開きに、お刺身、アジフライまでついてくる大ボリューム。
いずれも美味な上、キンメの干物は意外とあっさりしていて、ペロリといけました。

本当に漁港の目の前にある素朴な食堂。少し値は張りますが、おすすめです。

このあとは早々にホテルにはいり、のんびりと過ごしました。
宿泊先は、ヒルトン小田原。
雇用保険から莫大な資金を投入して建てられたものの、あっさり小田原市に払い下げられ、今ではヒルトン所有になっているという、いわくつきのホテルです。
でか!びっくり

実は、今年秋のハワイ旅行でヒルトンに泊まることもあり(ヒルトンの無料宿泊券をもらった経緯はこちらの記事で→「【閑話休題】家づくりという物入りの時期なのに、来年のハワイ旅行を予約した話」)ヒルトンVISAカードを作ったところ、自動的にヒルトンのゴールド会員資格をもらえました。
ゴールド会員というのがどんなものなのか?ハワイへ行く前に試してみよう、という意図もありました。

お部屋⬇︎
普通のツインを予約していましたが、ゴールド会員ということで、コーナーツインへアップグレードしていただけました(ま、しょーじき微妙なアップグレードではありましたが)
このほか、チェックアウト時間を13時に繰り下げていただき、朝食も無料でつけていただくことぎできめした照れ
なかなかいいな、ヒルトンVISAゴールドカード。

外資系ホテルなのに、(元がお役所の建てた保養所なので)、温泉大浴場があるのが魅力。

少し狭い上に、温泉といっても、湯河原や熱海のお湯ほどあたたまる感じはありませんが、それでも日本人にとっては大浴場は正義です照れ

この1週間、あまりぐっすり眠れていなかったのですが、温泉の効果もあってか、夫婦揃って昼寝してしまう有様。
起きたらもうすっかり暗くなっていて、慌てて晩御飯に出かけました。

車で10キロほど小田原市方面へもどり、早川漁港近くにある、「わらべ菜魚洞」というお店へ。
こちらではアジフライをいただいきましたが、臭みが全くない軽くて身の厚いアジフライを堪能させていただきました。

このあとホテルに戻り、また温泉につかったり、亡くなったゆめの写真を見返したりして夫婦で思い出に浸ったりして、この日は終了。
久しぶりにぐっすり眠ることができました。

そして日曜の朝。
素晴らしい朝焼けで目を覚ましました。


チェックアウトが13時なので、午前中は本当にのんびり過ごしました。温泉につかって、パターゴルフして、お土産をのぞいて、散歩して、さらに部屋でのんびりして。
午前中ってこんなに長かったっけ?照れ

ヒルトン小田原を後にして、お昼は近くのレストランで。
名前はレンガ屋。外壁はタイルびっくり
こちらのビーフシチューが美味しかったー!おねがい

そこからまた少し車に乗って、この小旅行で唯一といえる観光をしました。
訪れたのは、「江之浦測候所

測候所といっても、気象観測をしているわけではありません。一種の野外アートミュージアムで、冬至、春秋分、夏至の日の出の方角に合わせた、建築やオブジェクトが印象的な施設です。

夏至の日の出の方角に向けられたギャラリー。この施設の設立者でもある、写真家の杉本博司の作品が展示されています。

手前に突き出た茶色い塊は、冬至の日の出を遥拝するための装置。コールテン鋼という、安定した錆に覆われた鉄材でできています。
その内部。冬至の朝には、このシャフトの正面に、朝日を望むことができるそうです。

コールテン鋼のシャフトの上部。半円形の客席と、ガラスの舞台が設えられています。
シャフトの上は、先端の方まで歩いて進むことができます。置いてある石は、「この先立ち入り禁止」の記号。無粋な文字ではなく、こういう記号を使っているところもアートですな

敷地全体に、さまざまな石組みやおそらく杉本氏が収集した遺物(そのほとんどが石のもの)、さらには千利休の待庵を本歌取りした茶室までが点在しています。


さほど広くはありませんが、ゆっくり見て回ると優に半日はかかりそう。
要予約の施設ですが、当日電話でといあわせれば、空き状況によって当日券をだしてくれるようです。
小田原から真鶴あたりにおでかけのときは、ぜひ立ち寄ってみてください。


いい空間、いい建築を体験すると、清々しい気持ちになります。
ゆめを失ったショックからは、まだまだ立ち直りきれてはいませんが、少しずつ立ち上がって、頑張ろうと思える旅になりました。

家づくりの方は、現在長期優良住宅の適合審査を進めていただいています。
これがおりれば、地元の区役所に長期優良住宅の認定を申請して、着工の運びとなります。
まだまだ迷っていること、決めなくてはいけないこともありますし、頑張っていきたいと思います。