土地の売買は早い者勝ち。

その競争を勝ち抜くために、猛烈なスピードで比較検討決断決定を繰り返していかなければならないことを、前回ご紹介しました。
 
そんな中、少しでも納得感をもって、満足できる家を建てるにはどうしたらよいか、私たちなりに考えてみました。
 
 
結論から言うと、
 
「最初の土地で、決めようと思うな」
 
・・・いやマジで真顔
 
昔から、満足いく家を建てるには、三度の普請がいる、とも言います。
それだけ経験が大切、ということでしょう。
 
だとしたら「はじめての候補地ですべて決めてやる」という強迫観念にかられることなく、「とにかく一度経験してみよう、ダメになっても経験値は詰めるし」という程度に気楽に考えて、あまり時間に追われることなく取り組むことをおすすめしたいかと。
 
土地の売買契約を結んで手付金を払った後では、なかなか後戻りは難しくなりますが、それまでのステップだけでも、実に様々な経験を積むことができます。
いざ、土地の契約をしますか?という段階でじっくり悩めばいいわけです。それまでは「あくまでも体験。この土地に決めるとは限らない」というおおらかな気持ちを貫きましょう。
 
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土地探しを始める、というとき、ます何をしますか?
不動産サイトを見て、住みたいエリアの土地相場を調べますか?
それはもちろん大切なことですが、その前にやっておくべきことがいくつかあります。
 
 
1 自分たちが出せる最大の予算を知る
2 自分たちの人生設計のなかで、無理のない範囲でかけられる予算を知る
3 いざ土地が見つかったときに、相談に行く工務店、ハウスメーカー、建築家の候補を絞り込んでおく
4 いざ土地が見つかったときに、仮審査をお願いする金融機関、ローン商品について調べておく
 
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どれも当たり前のことじゃん、と思われたあなた。
スバラシイ!
土地探しを始める前に、この辺りの整理がついている人って意外と少ないんですよ。
土地が見つかってから慌てて調べて慌てて決めていく人が多いんです。
 
たとえば、ご主人、奥さんがどのくらい貯金を持っているか知っていますか?
建築士夫婦は知りませんでした。建築士妻なんて自分がいくら持っているのかすら把握していませんでした口笛
 
親御さんなどから、住宅資金の援助を受けられる可能性はありませんか?
一定額まで贈与税がかからないなど優遇措置があります。もし援助を受けられる場合には、税理士さんなどとも相談しながら進めたいところです。
 
住宅ローンについては、最大でいくらまで借りられるか、金融機関のホームページで簡単なシミュレーションができますから、確かめておきましょう。
最近では週末に住宅ローン相談会をしている金融機関も増えています。住宅ローンは土地購入、家づくりのキモですので、早めに一度話を聞きに行っても良いと思います。源泉徴収票や確定申告書を用意して、相談に行ってみてください。
住宅ローンを借りるとき、自動車ローンやリボ払いといった「住宅ローン以外の借り入れ」があると、融資の限度額が低くなったり、最悪の場合審査に通らない可能性がでてきます。
家を建てようと思い立ったら、まずは借り入れを整理して、使っていないクレジットカードは解約するなど、準備をしておきましょう。
 
 
せっかく家を建てたはいいけれど、教育資金や老後資金か足りなくなってしまうようなってしまっては本末転倒です。
将来のことも視野に入れたとき、土地購入、家づくりに、いま、どのくらいの資金を振り向けて良いのか、慎重に検討しておきましょう。
住宅ローンの月々の返済額を目安に考える方も多いと思いますが、FPさんに相談するなどしてライフプランをつくってもらい、将来のお金の流れを見通したうえで、土地購入、家づくり予算に上限を設定しておくのは、とても大切なことです。
 
予算についておおよそのところが見えてきたら、今度は、いざ土地がみつかったときに相談する工務店、ハウスメーカー、建築家、さらには住宅ローンを借り入れる金融機関の絞り込みを、先に進めておきます。
 
 ただ、まだ具体的な候補地がないこの段階では、工務店やハウスメーカー、銀行さんとはなかなか身の入った打合せにはなりません。
「土地がない=すぐに契約してくれる見込み客ではない」と思われてしまうからです。
 逆にいうと、しつこく営業されるリスクも少ない、とも言えますので、この間に、気になった工務店さんやハウスメーカーさんが主催する、「現場見学会」や「完成見学会」、「OB宅訪問見学会」に参加してみることをおすすめします。
 
一昔前まで、住宅会社選びといえば住宅展示場めぐり、でしたが、住宅展示場のモデルハウスは、現実離れした超豪華仕様になるばかりで、実際に建つ家の参考にはなりません。
そこで、実際に建っている家を見学できる機会に参加してみよう、というわけです。
 
特に、OB宅見学会は、生活感がある中で実際の家を見学できる絶好のチャンスです。実際にお住まいの方に質問できる場合もあります。
基本的には、そのハウスメーカーを気に入っているお客様の家ですが、お客様と良好な関係を保っていなければ開催できないのがOB宅見学会でもあります。
家具がまだはいっていない完成見学会などより、スケール感などはつかみやすいと思いますので、おすすめです。
 
こうした見学会には、必ず工務店、ハウスメーカーの営業担当者がアテンドしています。
建物の価格については、お客様のプライバシーの問題もあり、直接的に教えてもらうことは難しいと思いますが、およその予算感は聞くことができるでしょう。
「トータル予算○千万円で、こういうエリア、条件で土地を見つけて家を建てたいと思っているけど、御社で可能性はありそうですか?」
と聞いてみましょう。
ハウスメーカーさんの多くは、不動産業の登録もしているので、インターネットに出ていない不動産情報を持っていたりします。意外といい土地を紹介してくれたりしますので、声をかけておいて損はありません。
 
 
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予算の総額を決めて、候補にしたいハウスメーカー、工務店、建築家のあたりがついて、住宅ローンをどう借りるか、どこに仮審査をだすことにするか、という整理がついたら、いよいよ土地探しに着手します。
 
といっても、いきなり本命の土地を見つけようとしてはいけません。
まずは、ソコソコの条件の土地で「練習」しましょう。
 
見学会で土地探しについて相談した工務店やハウスメーカーから、土地の情報が出てくるとしたら、最初の1週間のうちに連絡があります(2週目以降になると、連絡が来る確率はガクンと下がります)。
この土地はちょっと、と思っても格好の練習台だと考えて、話を進めてみましょう。
 
この先、怒涛の勢いで物事が進み始めます。
しかし、ここはつとめて冷静に。
ポイントオブノーリターン(帰還不能地点)は、まだもう少し先になります。
勇気を持って、そこまで進んでみましょう。
 
以下次号