中国メディアが伝えた日本女子卓球の脅威 | ゆめたんのマイペース日記☆

中国メディアが伝えた日本女子卓球の脅威

「早田ひなはパリ五輪で中国にとって最大の脅威となる」中国メディアも一度は追い詰められた卓球日本女子の“強さ”に衝撃



卓球の世界選手権団体戦の女子決勝が24日に韓国・釜山で行われ、日本が2-3で中国に屈し、銀メダルに終わったが、第2試合で早田ひな(23、日本生命)が東京五輪の金メダリストを撃破、第3試合では平野美宇(23、木下グループ)が連勝するなど、一時は、“最強中国”を追い詰めた。中国は6連覇を達成したが、中国メディアも日本の躍進に衝撃を受け、パリ五輪へ向けて「今大会の結果は軽視できない」と危機感を募らせた。




🔵笑顔なき中国


 大会6連覇を達成した卓球王国・中国に笑顔はなかった。

 世界ランキング1位の絶対的なエース孫穎莎(23)が、東京五輪女子シングルスで金メダルを獲得した陳夢(30)がむしろ歓喜の涙を流している。日本に追いつめられ、一時は優勝へ王手をかけられた大苦戦の跡を物語る光景だった。

 孫と王芸迪(27)、そして陳と最新の世界ランキングの上位3人でオーダーを組んだ中国と、すでに今夏のパリ五輪代表に決まっている早田と平野、そして張本で挑んだ日本が5大会連続で顔を合わせた世界選手権団体戦の女子決勝。第1試合こそ孫が3-0で張本に貫禄勝ちしたが、続く第2試合に登場した日本のエース、早田が流れを一変させた。

 過去7度の対戦で一度も勝利していない陳に第1セットを先取されながら、続く3セットを立て続けに奪取。特に第4セットは4-7とリードされた状況から巻き返し、最終的には14-12で競り勝つ驚異的な粘りで逆転勝ちをもぎ取った。

 中国メディアの『捜狐』は「中国女子代表が辛くも世界選手権団体戦で6連覇を達成」と題した記事のなかで、早田が陳からあげた初勝利をこう報じている。

「現時点における早田ひなの世界ランキングは、中国以外の外国人選手のなかではトップとなる5位だ。彼女の実力とポジションは、東京五輪における伊藤美誠と酷似している。つまり、5カ月後に迫るパリ五輪において、中国の最大の脅威となる選手と言っていい。陳夢からあげた初勝利は、彼女にさらに大きな自信を与えるだろう」

 第3試合では平野が3-0のストレートで王を撃破し、1971年の名古屋大会以来、実に53年ぶりとなる金メダル獲得へ王手をかけた。しかし、エース対決となった第4試合で孫がストレートで早田を、最終第5試合では陳が3-1で張本を下して面目を保った。

 しかし、この1年間で急成長を遂げている15歳の張本の前に、陳は第1セットを落として日本チームを勢いづけている。過去にない苦戦を強いられた展開を、前出の『捜狐』は馬琳監督(44)を、その戦略性のなさをからめながら一刀両断している。

「多くのファンが『馬琳は孫穎莎に助けられた』と見ている。なぜ決勝がこのような展開となったのか。理由は日本チームのプレーと戦略が非常によかったことに加えて、中国チームのオーダーが大きな問題を抱えていたからだ。王芸迪は過去2年間で日本人選手に最も多く負けた選手であり、この日の平野美宇戦が実に5敗目となる。しかしながら、馬琳監督は隠れたエースでもある世界ランキング4位の王曼昱をオーダーから外した」


 この5年間で急成長を遂げている中国のウェブメディア『澎湃新聞』は、今回の世界選手権団体戦がオリンピックイヤーに開催された点に危機感を募らせている。

「中国女子代表チームの6連覇に加えて、今大会は別の意味を持つことになるかもしれない。この大会でパリ五輪の団体戦出場を決め、女子シングルス2枠も獲得した日本女子チームは、決勝でプレーした早田ひなと平野美宇を女子シングルス代表に決め、2人に加えて張本美和を団体戦代表に選んでいる。こうした状況を前にすれば、今大会の結果は軽視できない」

 今大会の日本はグループリーグ4試合、そして決勝トーナメントのラウンド16、準々決勝、準決勝の7試合のすべてで3-0のストレート勝ちを収めて決勝進出を果たしている。同メディアは、日本が刻んだ軌跡にも注目すべきだと記事のなかで伝えている。

「特に日本卓球協会が今月上旬にパリ五輪の出場選手リストを発表してからは、日本女子チームには小さくない変化が生じている。今大会は伊藤美誠がパリ五輪の団体戦代表から外れて以降、初めて公の場に姿を現した大会でもあった。香港との準決勝でオーダーから外れた伊藤は、優しい表情を浮かべてチーム最年少の張本美和にアドバイスを送っていた。日本のネットユーザーたちは『何も言わない監督に代わって、伊藤のアドバイスは本当に効いていた』と彼女の指導的な役割を高く評価している。決勝でもオーダーから外れた伊藤が声援を送るなかで、中国は口から心臓が飛び出そうな戦いを余儀なくされた」

 1988年のソウル五輪から正式競技になった卓球で、中国は全9大会で女子シングルスを制覇している。2008年の北京五輪から採用された女子団体戦でも4連覇を継続しているなかで、東京五輪で新設された混合ダブルスで水谷隼・伊藤ペアが頂点に立った。

 中国メディアから「大魔王」と畏怖される伊藤を押しのける形で、代表入りを果たした張本が現在進行形で成長を遂げていると証明された今大会。早田と平野が加わる陣容が、パリ五輪における金メダル独占へ向けた脅威になると受け止められたようだ。日本女子のメンバーは、若手で構成されているだけに今夏のパリ五輪までの伸びしろははかりしれない。あと一歩届かなかった悔しさをバネにパリ五輪の本番で、今度こそ、世界に本当の衝撃を与えることになるかも。