漱石の俳句に目を通してみた。
持っている岩波書店版『漱石全集』第17巻には、漱石の俳句約2500句が収められている。
その2500句から2日間かけて、好きな句、有名な句、参考になると思った句を書き出してみた。
ノートに110句を書き留めた。
もっとあると思ったが、少ない感じもする。
中国や日本の故事を引いた句がかなりあるが、それらはあまり選んでいない。注を読まなければ理解できないものは省いている。
今日からしばらく、漱石の俳句は2500句から選んだ110句の中から紹介する。
帰ろふと泣かずに笑へ時鳥
聞かうとて誰も待たぬに時鳥
西行も笠ぬいで見る富士の山
蛍狩われを小川に落したり
こうろげの飛ぶや木魚の声の下
何となう死に来た世の惜まるる
三方は竹緑なり秋の水
一里行けば一里吹くなり稲の風
麓にも秋立にけり滝の音
名は桜物の見事に散る事よ
初期のころの句で、最初の2句以外はあまり知られていない。
はじめの2句は正岡子規が結核にかかったのを激励した句である。
明治22年の作である。