私は、親孝行という言葉には、特別な思い入れがある。
母が41歳の時に、私が生まれた。
5人兄弟の中の長女である姉が親に頼んで、私に「孝子」という名前を付けたのだと聞いた。
私は子供心に、親に名前を付けて欲しかったと、一時不満に思ったこともあった。
姉に後から聞いたら、「自分は、嫁に行く年頃になっていた。老いていく親を思い、この妹に、自分の代わりに、親孝行をして欲しいと思った。
だから、名前を「孝子」と付けさせてもらった。」と聞いた。
それを聞いて、私は余計自分だけに押し付けられた思いになり、良く思えなかった。
大人になって病気で大変な時、母に一家を支えてもらってから、母の恩に報いる心が大きく芽生えた。
夫の協力もあり、「親孝行してもらったぁ。」と喜んで、母は87歳で亡くなった。
母と、「孝子」と名前を付けてくれた姉に、感謝できる日を迎えた。
今も、野や山、全国各地に母と行った思い出が、私の心の灯となっている。
親孝行って、楽しいんだ。