近頃、暑い日が続いています。温度も高く湿度も高い日本の蒸し暑い夏は、地球温暖化と異常気象で10年前、20年前と比べると気温が大分高くなっています。最高気温が30度あったら真夏日だったのが、どんどんと最高気温を更新し、最近では40度を超える場所もあります。気候としてもただ気温が高い日が続くだけでは無く、雨によって涼しい日が訪れたと思ったら10度も差を付けた真夏日が訪れる、なんて気温差の激しい事も多くあります。

 そんな生き物が過ごすには厳しくなっている夏ですが、暑いと気を付けなければいけない代表的なものが熱中症です。気温が上がる春先や夏に入ると、校庭で運動をしていたり集会をしていた学生や、庭先で庭の整備をしていた人達なんかが病院に熱中症で運ばれたと言う話を多く聞くでしょう。ただ歩いていたり立っていたのに気がつけば病院に運ばれていたなんて事もあります。

 熱中症に罹ると、何かと色々大変な事になるので、罹らないに越した事はありません。

 今回は熱中症の話です。

 

 

熱中症とは

 熱中症とは、気温や湿度が高い環境下で身体が適応出来ず、体温調整が上手くいかない事で生じる様々な症状の事です。気温、湿度の高い環境にいる事で体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れた事で起こる、めまいやだるさ、吐き気や筋肉の痙攣、意識障害等様々な症状が起こる状態をまとめて、熱中症と言います。

 熱中症を引き起こす条件は、「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられます。気温が高い、湿度が高い、日差しが強い、風が弱い等の「環境」の要因、暑い環境に身体が十分に対応出来ない、低栄養状態、二日酔いや寝不足といった体調不良等の「からだ」の要因、激しい筋肉運動や慣れない運動、長時間の屋外作業、水分補給が出来ない状況等の「行動」の要因とがあります。

 熱中症になる可能性がある目安は、暑い場所にいた時から24時間程度です。一晩眠った翌日や、数時間後に熱中症となる場合もあるため、時間が経っても油断せず熱中症の症状に警戒する事が大切です。

 

 

熱中症の種類

 熱失神

 皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなる事によって起こります。

 めまいや一時的な失神、顔面蒼白や脈が速くて弱くなる事等が特徴です。

 

 熱痙攣

 大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴った痙攣が起こります。

 筋肉痛や手足の攣り、筋肉が痙攣する事等が特徴です。

 

 熱疲労

 大量に汗をかき、水分の補給が追いつかないと身体が脱水状態になり、熱疲労の症状が起こります。

 全身の倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力や判断力の低下等が特徴です。

 

 熱射病

 体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない等の意識障害が見られたり、ショック状態になる場合もあります。

 体温が高い、意識障害、呼びかけや刺激への反応が鈍い、言動が不自然、ふらつく等が特徴です。

 

 

熱中症の予防

 暑さ指数(WBGT)と熱中症予防指針を確認すると良いでしょう。

 暑さを避けるために、屋外では日傘や帽子を着用したり、日陰の利用やこまめな休憩をしたり、日差しの強い日は日中の外出を避けたりしましょう。室内では扇風機やエアコンで温度を調節したり、遮光カーテンやすだれや打ち水を利用したりしましょう。但し、エアコン等で冷やしすぎは、涼しい部屋から暑い屋外に出た時に、急激な温度差に身体が対応出来図、めまいや吐き気等を引き起こす事があるため注意が必要です。 

 身体の蓄熱を避けるために、通気性の良い吸湿性や速乾性のある衣服を利用したり、保冷剤や氷、冷たいタオル等を利用して身体を冷やしたりしましょう。

 室内でも屋外でも、喉の渇きを感じなくても、こまめに水分と塩分、スポーツドリンク等を補給しましょう。利尿作用があるものは、かえって脱水症状を進めてしまう事もあるので、飲み過ぎに注意しましょう。

 

 

熱中症の応急処置

 熱中症が起こってしまった場合には適切に応急処置をする必要があります。

 本人の意識がはっきりしていない、自分で水分や塩分を摂取する事が出来ない、水分補給などの何らかの応急処置をしても症状が良くならない、これらの場合はすぐに医療機関に連れて行きましょう。躊躇わず救急車を呼ぶ等の対処する事が大切です。

 意識がある場合、涼しい場所へ避難し、服を緩め身体を冷やしてください。意識がない場合は、救急へ連絡し、涼しい場所へ避難し、服を緩め身体を冷やしてください。

 水分を自力で摂取できる場合、スポーツドリンクや経口補水液等を始めとした水分・塩分を補給して下さい。

 症状が改善した場合、そのまま安静にして十分休息をとって下さい。

 熱疲労や熱射病の症状がある場合、急に容態が変化する場合があるので、一時的に症状が改善した場合でも病院での診察が必要となります。

 また、糖尿病や腎臓病等の持病がある人は軽度であっても体温の異常な上昇によって、臓器に負荷がかかり持病が悪化する危険性があるため、病院での診察が大切になります。

 

 

最後に

 暑い日が続くと、連日の暑さで体力が奪われたり、寝苦しく寝不足になったりして熱中症を発症しやすくなります。涼しい場所で過ごし、出来る限りの休息を取り、水分と塩分をこまめに摂ることが大切です。

 予防出来れば何よりですが、もしも熱中症に罹ってしまった場合は、即座に対処をし、少しでもおかしい所があれば即座に医療機関に受診して下さい。熱中症の人を見つけた場合も、意識がはっきりしていなかったり、水分・塩分を自分で摂れなかったりしたら、躊躇わず救急車を呼びましょう。