★私は目覚めると同時に枕元に置いてあるラジオのスイッチを入れる。今朝(24日)も同じだった。チャンネルはNHK第1にセットしてある。「マイあさ」(前5時~同8時)の放送中だった。番組内に「きょうは何の日」というコーナーがある。この日(6月24日)に起きた大きな出来事が短く報じられる。何本か後だった。女性アナの声で「1989年のこの日、国民的歌手の美空ひばりさんが亡くなりました。52歳でした」ー。「そうか、きょうだったのか」と一瞬で眠気が飛んだ。当時、私メはスポーツ紙で記者生活を送っていた。所属は編集局文化部で、担当は音楽ではなく演劇だった。しかし「大物」のニュースは部員全員で取材に当たるのが常で、美空さんはその代表的存在であった。私メが担当したのは「弔問客」だった。離婚した元夫の俳優・小林旭さんが来たらコメントを取れと指示されていた。しかし、午前零時を過ぎても、都内にあった豪邸「ひばり御殿」に小林さんは姿を見せなかった。デスクにその旨を連絡して社に戻ったのである。ラジオから流れてきた「あの日」が鮮明に蘇り、改めて美空さんのご冥福を祈った朝でした★(随筆家・夢野幸大)