高校3年生の秋、
その高校のスクールバス。
夕方の、下校時間で
もうすぐバスも発車する時間だった。
窓の外から、呼ぶ声がした。
窓から覗くと、
経営科の男子がいた。
たれ目の優しい顔。
忘れもしない第一声
『ねぇねぇ~あの娘、なんていう名前?何組?彼氏はいるの?』
その男子は、
立っている下級生を中指で指差した。(下級生は優先的に立つものなのです)
私はその娘に、組と名前を聞いて、男子に教えた。
男子は『ありがとう』というと
走ってどこかのスクールバスに乗っていった。
すぐにさっきの子と同じクラスの男子で、
ちょっとだけ知てっるヤツが、
また同じ子の名前を聞いてきたので、
今度は、直接教えてあげた。
帰りのバスで、モテモテのその下級生と
「彼氏はいないので、最初の名前を聞いてきた男子と付き合いたい」
という話をした。
上級生の組には行けないからと、私は下級生から
伝言を頼まれてしまった。
次の日、その伝言を持ち、
その男子のいるクラスへ走った。
ところが、一番目の男子に会う前に途中で、
2番目に名前を聞きに来たヤツに会ったので
「昨日の名前聞いた子が、もう一人の男子と付き合いたいって言ってるから、直接会いに行って話してよ」
などと伝言して、私は自分のクラスに戻った。
それから、時間は流れて・・・
もう卒業間近の2月になっていた。
仮卒と呼んでいた、学校が休みの日。
私は女友達で、ギター担当の子の家へ、
卒業ライブの打ち合わせに行くことになった。
ほかにも数人、友達が来るらしい。
宴が始まり、
友人から、女ったらしとして、
泣きの相談を受けてた
応援団の団長もきていた。
すぐに意気投合して、わいわいと騒ぎ、
女たらしなどと言い、茶化していたときだった。
そこへ遅れてきたのは
スクールバスの彼!!
たれ目の優しい顔だった。
あ・・・スクールバスで名前聞いたでしょ!!
と、思い出して、笑いあった。
あの日、あの子が言った、付き合いたいという伝言は、どうやら伝わってなかった。
しかも、付き合いたかったのは、彼じゃなくて
第3の男子だったと言うことも、
それから、2番目に聞いてきた男子が
第3の男子のことを想ってか、
話の握りつぶしをして、事が進まなかったことも解かった。
そんな話で盛りあがった。
そのスクールバスの彼は、もうすぐ結婚するんだって。
今でいう、でき婚。
あ・・・当時でも『できちゃった結婚』って言っていたかも。
結婚したら、もう遊べないからと、
そのはじけ様と
飲みっぷりも
すさまじく、具合悪くなり、ベランダで吐いた姿は
後々、しばらくからかわれて続け、
AKIという名前も「はき。」と呼んでいたほど、面白い姿だった。
私は、そんなハキを、まだまだ遊びたいだろうに・・・・などと、
少し歪んだ同情で、可哀想だと思ってしまった。
ハキはとても格好よくて、きっとモテモテだろうな・・・
背だって173くらいあるかな・・・ウエストも、細っそいのっ
胃下垂っていってて
あんまり食べられないんだってさ。
変な同情と、興味。私は馬鹿だと思う。
だけど、団長が卒業したら
上京すると言ってた。
遠距離恋愛になるんだけど。
会える時間は足りないけれど、私は団長を好きになった。
だって、独身?だもの
結婚する男子とは友人としての気持ちだった。
私にとっては、同姓の女の人として
彼にとっても同姓の男の人のように、私たちは親友のような気持だった。
後日、団長の家に遊びに行った。
団長とはキスした。初めてのキスだった。
送ってくれたバス停の隣にあるガソリンスタンドから
聴こえてきた「涙のリクエスト」
初めてのキスは、ドキドキした。
これがキスというものなのか・・・
とっても、嬉しかった。
家に着くと、両親の顔を見れない。
ごめんなさい、ふしだらな私を。
でも私は、団長と離れてしまうのを、
どれほど悲しくおもっただろうか。
私たちには時間が足りなかった