「僕たち、ラオスに学校建ててます。」
こう言うと多くの人が驚く。そしてこう言う。
「なんでラオスなの?」
僕たちの名前は「学生団体夢人-yumenchu-」。
設立から今年で6年目を迎える。
メンバーの数もかなり増え、毎週毎週ミーティングの場所を取るのも大変だ。それだけ人の数がいれば、そこかしこで、あれやこれや話が始まる。大学であった出来事。最近の面白いこと。週に一回しか会わないとなると話のネタがどんどん溜まる。
でも、ある話題の話になると顔つきが変わる。熱い話を始める。
僕たちが教育支援をしている東南アジアの国・ラオスについてだ。
ラオスに教育支援をして、6年。
これまでに小学校2校・中学校2校・幼稚園1園を建ててきた。
日本でイベントを行い、その収益金を全て学校建設に充てる。
学校に通いたいのに通えないという子供を減らすため、僕たちは支援をしてきた。
ここからは、少し同期の話になる。
2017年、僕たち5代目夢人の挑戦が始まった。
今から思うと、それは"挑戦"ではなく、"旅"のようなものだったのかもしれない。
代替わりをし、1年生達を引っ張ろうと、がむしゃらに頑張るしかなかった冬。
色々なことがあった。
「なんでこうなるんだろう」
「なんで自分たちの代で」
「この代で、本当に良かったのかな」
あの頃、僕たちの心は不安が感情の9割を占めていた。
でも、逃げたメンバーは一人としていない。夢人を背負う覚悟に改めて気付かされた、長い長い冬だった。
出会いの春。
僕たちの元に、いずれ7代目へと成長する仲間が加わった。
ポジティブで明るい、ひたすらに元気に夢を見る1年生。
多くの経験を通して、自分たちなりの夢を語ることが出来るようになった2年生。
頼もしい仲間と共に、僕たちは歩み始めた。
暑い暑い、夏。
渋谷のWOMBで行ったイベントには、800人以上の学生が集まってくれた。
初の試みである野外イベントでは、頼もしい動きをする後輩達の動きがあった。
最後のスタツア。僕たちのミッションである「体育館」の完成を見ることができた。
「体育館ができ、村中の人たちが喜んでいます。子供達も体育館で遊ぶ時間を楽しみにしています。ありがとう。」
先生達から言われたあの言葉を、僕たちは一生忘れないだろう。
日本の学生を笑顔にする。その笑顔を、ラオスの子供達の笑顔に変える。
そのプロセスを僕たちが作るんだ。僕たちが架け橋になるんだ。
抱き続けた想いが実ったと、そう実感する季節になった。
そして、あと残りわずか。
僕たち5代目は、11月7日のイベントをもって引退する。
終わることのないと思っていた、帰りの切符なんてなかった旅も、あと少しで終わりを迎える。
この旅の先にどんなゴールがあるかなんてわからない。
どんな景色が待っているかも、その景色を見て僕たちがどう思うかなんてのもわからない。
でも、この旅を僕たちは悔いなく歩んできた。
旅の途中の景色を大事にしてここまできた。
一瞬一瞬では後悔はあったのかもしれない。
だからこそ今があるのだと思う。
「なんでラオスなの?」
この質問に対する答えを、自分なりの答えを探し続けることが、もしかしたら”旅”の目的なのかもしれない。そう思う。
正確には「僕たちは学校を建てて」はいない。
建てたのは「体育館」だ。
本当の意味で、ラオスの教育を変えたい。
そのためには政府に認知される学校体型「モデル校」を作って政府に提示することが必要なのかもしれない。
じゃあモデル校ってなんだろう?
教育の質の問題?
それとも設備や施設の問題?
様々なことを考え、僕たちは「体育館」を建てることにした。
出来上がったのは、想像を超える大きさの「体育館」。
これからラオスの教育を本当の意味で変えていく。
その一歩を踏み出すことが出来たと、今、胸を張って言える。
あの体育館には夢人の想い、日本の学生の楽しんだ笑顔が詰まっている。
そして、これから先、それはラオスの子供達の笑顔に変わっていく。
これからの夢人がその媒体であり続けてくれると、僕たちは信じている。
こうして振り返ってみると、本当に色々なことがあった。
嬉しいことばかりじゃない。
辛いことも、大変なこともあった。
でも、間違いなく、最高の青春を過ごすことが出来た。
それは多分このメンバーだったから。
後輩達がいたから。
応援してくれる人達がいたから。
ラオスの子供達がいたから。
最高の仲間がいたから。
そして、夢人に出逢ったから。
夢を見た。
夢を語った。
次はいよいよ、夢を叶える番だ。
僕たちの旅は、まだ終わってはいない。
最後まで歩み続ける。
最高の仲間と共に、最高の景色を観るために。
最高の夢を叶えるために。