　ただ問題は、一体どのような夢を描けばいいのか見当もつかなかったことだ。

　不可能な夢とはどんなものなのか真剣に考えた。一生を賭けるにふさわしい“なにか”を本当に描けられるのか大いに悩んだ。

　少林寺拳法は面白かった。それは認めよう。

　とはいえ、これに一生を賭けうるかというと、どうもピンと来なかった。もっと大きな“なにか”がぼくを待っているような気がしてならなかった。
　その少林寺拳法だが、大学の四年目になると部の運営は後輩に任せられ、ぼくの学年は現役を退いた。これを契機に同期たちは就職活動に本格的に取り組むようになり、にわかに忙しさを増していった。

　だが、元々ろくに授業に出ていなかったぼくは、必要単位をそろえられずに留年をしていた。

　そういうことでぼくにとって就職活動は関係のない、遠い遠い世界の出来事のようであった。

■ フォト「少林寺拳法時代」

六甲台第1キャンパス正門（神戸大学六甲台 1993年）

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1-2 大きな夢を描け 2

1-2　大きな夢を描け 2