なぁ、知ってる?
森の入り口にあるあのおんぼろのポスト、黄泉の国と繋がってるんだってさ。
噂だと三回だけ、あっちの世界の人と手紙を交換できるらしいよ。
出してみたら?
お前のキモチ、あいつは知らないままなんだろ?
背中を押してくれるのは、いつも優しい彼だった。
【あんたがいないこの世界は生き辛いよ。馬鹿みたいな笑顔、もう一度みせて
よ。】
半信半疑で書いた手紙をポストへと入れる。
うっすらと朱色に染まった空を見上げると自然とため息がもれた。
あいつはもう、隣にいない。
懐かしい文字を自宅のポストで見つけたのは、それから二日後だった。
【ごめん。ずっと一緒にいるって約束したのにな。
お前が言う生き辛い世界は、俺にしたらなかなか悪くなかったかな。
生き辛いというその世界で、お前には生きていてほしいよ。】
どんな関係でもよかった。
ただ、近くにいれるだけで幸せだったのに。
たとえ、あんたの目が、別の誰かを見ていたとしても。
【謝るくらいなら戻ってきてよ。
伝えられなかった言葉、聞きにきてよ。
当たり前を失う事がこんなにも辛いなんて知らなかった。
お願い。
一度だけでいいから。
もう一度だけ、姿を見せて。】
無理な事は分かっていた。それでも願わずにはいられなかったから。
【サヤ、声に出して。
お前の言葉を、ここで聞いているから。
伝えて。
何も出来ないけれど、お前の痛みを少しでも軽くできるなら、全てを受け入れる
から。】
言ってもいいのかな?音に出したらもう、取り戻せない。
『トワ、聞いてる?
幼馴染としてじゃなくて、もちろん妹としてなんかじゃなくて、あんたが好き
だから、あんたと一緒に生きていたかった。
トワのいない世界に私はいる意味があるのかな?
ねぇ、聞いてるんでしょ?
ちょっとは嬉しい?
困ってるんでしょ?分かってる。
だって私たち、どれだけ一緒にいたと思ってんのよ』
そう。ねぇトモ、私たちどれだけ一緒にいたと思ってるの?
最後の手紙を持ってポストへと向かう。
陽が落ちきってしまったそこは、恐ろしいほど真っ暗だった。
ポストの脇にある小さなベンチ。私は静かにそこで待つ。手紙を送る、その相手
を。
なぁトワ、ずっと一緒にいるってお前がサヤに言ってやった事、どれだけあいつ
が喜んでいたか知ってたか?
何で俺じゃなくて、お前がここにいてやれないんだろうな。
トワが突然命を失ってから、サヤは外に出ることすら出来なくなった。
でも今は再びトワの為に彼女は動く。
今日、彼女は最後の手紙を出しに出かけた。
「やっぱり。来ると思った」
闇にまぎれた影から聞こえる彼女の声。
「これ、最後の手紙だから」
顔は見えない。
手紙だけ渡されて、彼女はそのまま帰って行った。
【トワ、あんたがいないこの世界で、私はもうちょっと頑張ってみるよ。
トモもいるし、きっと大丈夫。
あと少し、あと少ししたらきっと、立ち直ってみせるから。
頑張ったなって褒めてもらえるように、きっと】
手紙はもう一枚あった。
【トモ、ありがとう。あんたがいてくれてよかった。
他の誰かが、どっちがどっちなんだか分かんないなんて言っても、私には分かる
んだから。
トワはトワ、トモはトモだよ。
あんたのが辛かったはずなのに、ごめんね。
ずっとトモの事をちゃんと見れていなかったって気付いた時、涙が出た。
自分勝手だったね。ごめんね、ありがとう】
俺の事なんてどうでもいいのに。
ただ少しでも彼女の役に立ちたかった、それだけだったから。
何の予兆もなく、するりと涙が頬を伝った。
彼女のため、そう思っていたけれど。
苦しかった。
痛かった。
どうして生きているのは自分なんだろうって、必要とされているのは俺じゃなく
てトワなんだって。
でも、彼女は俺に気付いてくれた。
いつでもサヤは俺を救ってくれる。
だからたとえ、サヤの気持ちがトワから離れて別の誰かに向いたとしても、俺は
ずっとサヤを見ている。
彼女がただ、幸せであるよう。
××××××××
こんばんは
久しぶりに小説のせてみました。
テーマは【恋愛】
しかも短篇で原稿用紙5枚以内!!!
これが以外と難しくて・・・。。。
なんか上手く伝わらなかったかも・・・
どうでしょうか?
Kiu