少し経ってから、
ナミさんがミヨちゃんの前に
ケーキとミルクティーを置いた。
「かわいい」
ミヨちゃんが笑顔でそう言う。
寂しかったケーキが
お皿の上で華やいでいる。
正直いうと、
俺も早くアレをやってみたかった。
シンプルにケーキだけでも
ここの味なら勝負できると思う。
でも、彼女の作る
デコレートされたケーキは
その味を上回るんじゃないかと思うほど、
人気があった。
「ナミさん。後でまた、話聞いてもらえます?」
ミルクティーを口に少し含んだ後、
彼女はこびるような口調でそういった。
「もちろん。ちょっと他のお客様の相手もあるから、
とりあえずカイトで我慢してね」
俺の肩をポンとたたいて、
ナミさんはコウヘイさんの方へと行ってしまった。
クスクス笑う声で我に返る。
「何?」
「カイト君、なんだか置いてきぼりをくった犬みたい」
「犬・・・ですか?」
「なんで敬語なんですか?」
彼女は更に笑った。
異性としてみてもらえてないのか・・・・・・
少しだけ不安になる。
「ナミさんがいないと、俺オロオロしちゃうんだよね~」
ナミさんがいたら、
『なんでカイトはカッコイイとこ見せないかな』
と、怒られてしまいそうなセリフを
軽口で吐いてしまった。
『カイトはちゃんとイケメン君なんだから』
ちゃんとの意味が分からないが、
なさけない事ばかり言う俺を
いつも彼女はそうやって慰めてくれた。
「カイト君って、すごい素直ですよね」
ナミさんの方へと向けていた視線を彼女に戻す。
「そんな事・・・・・・ないと思うけど」
「そうですか?」
勘繰るような視線は、少しだけ居心地が悪かった。
タイミングよく、ドアが開かれる。
「いらっしゃいませー」
つづく![]()