落ち葉の降りしきる林の中を歩いていた

何層にも重なり合う枯れ葉が絨毯のようだった

少し疲れていた

適当な場所に腰を下ろし両手を後ろについた

すると指先に柔らかな何かがー

咄嗟に立ち上がり目を凝らす

 

そこに二つ並んである幼い瞳

落葉に埋もれて二つの眼だけが見えている

人間の子どもの眼だ

周囲を見渡すとあそこでもここでも

小さな眼が光を放っている

一体どれだけの子どもたちが

この一帯に身を潜めているのか

一斉に起き上がってこないか

急に不安になる

 

その時いきなり雨が降り出した

次の瞬間 次々と眼は閉じられて

それが五百円玉に変わっていった

一枚を拾い上げる

とその先にも数枚の硬貨

見ればいたる所に五百円玉が落ちている

それらを夢中になって拾い集め

ポケットというポケットに詰め込んでいく

尻ポケットにもジャケットにも

 

久しくなかった至福のひととき

込み上げる笑いが止まらない

自分の高笑いで目が醒めた