今日は所用でハノーファーに行ってまいりました。
電車の中での楽しみは、好きな音楽を聴く事。
またまた、シューマン・バイオリンコンチェルトの登場でした。

この曲には、本当にシューマンしか書かない(書けない)ものが沢山詰まっていて、またそれは彼の心の声のような気がします。
自ら音楽雑誌「新音楽時報」を創刊し、整然とした音楽評も書いていたシューマンですが、彼は2人の全く違うキャラクターの自分の分身、フロレスタンとオイゼビウスのペンネームを使っていました。この2人のキャラクターは、シューマンの楽曲の至るところにあらわれます。
陽気で活動的なフロレスタン、常に受動態で慎重なオイゼビウス。この二面性も勿論シューマンの特徴ですが、その変わり身の速さは彼以外の誰にも真似出来ないと思います。

彼のバイオリンコンチェルトですが、普通だったら3度の跳躍だろう所で、10度の跳躍を使い、まるでこの世と天国を行ったり来たりしている感覚に陥ります。で、結局はどちらの世界にも落ち着けない、みたいな。 



この曲の2楽章は、シューマンいわく、天使が歌ってくれた、という美しい旋律なのですが、何と!彼はその対旋律に不安定なシンコペーションを使っているのです。




美しい天使の歌の下にうごめく、不安定なシンコペーション!まさに、2つの異世界同時進行。切り替えが突然どころか、同時進行❗️


突然ですが、ヤコブの梯子をご存知ですか?

聖書に出てくる地上から天国に通じる梯子なんですが、このコンチェルトに、私にはヤコブの梯子にしか聴こえない所があるのです。まるで、神がシューマンに与えた梯子みたい。




普通にファ・ソ・ラ・シ・ド・レの音階だったら気にも止まらないだろうところ、シューマンがどう書いたかご覧ください。




天使の歌の2楽章は13:35、ヤコブの梯子(私が勝手に言っているだけですが)は26:45くらいです。


ちょっとマニアックなVログ書いてみました。