ゆめこシリーズ「空を飛べなかったツバメ」「ほっこりするね」「想い出の走馬燈」の著者のふじもとじゅんこです。
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ゆめこの初恋物語
文・ふじもとじゅんこ
《第28話》
くじけそうになりながらまだ見ぬ未来に希望を持って生きるゆめこ
保育園の仕事に就いてから約8か月…
ゆめこは保育園の仕事が契約期間満了となったので職を退くことになりました。だから、それまで僅かながら生活費を母親に渡していたゆめこでしたが職を失ったので、それさえも渡せなくなったのです。
ゆめこの心は沈み切っていました。
ゆめこは実家の一人部屋に籠っていたこともありました。それは
ギスギスした空気に触れたくなかっただけで自分を大事にしていたのです。でも、そんなゆめこを「ひきこもり」と思っていた家族がいたから、ゆめこは出来るだけ外に行くことにしました。ある時は自然がいっぱいのところに愛犬ラブを連れて行って、日中、何時間も外で過ごしたこともあったのです。その間、ゆめこは人形を作ったり、パッチワークの袋を作ったりして時間を過ごしていました。
でも、その頃からゆめこは痩せ細っていきました。母親に生活費を渡せなくなった自分が家族に申し訳なくて、ゆめこはそれから殆ど食事をとらずに痩せ細っていったのです。そんな痩せ細った母を見たゆめこの息子夫婦は心配して外食にゆめこを連れ出して「食べたいもん頼んでいいから‥」と言ってお腹いっぱい牛丼を食べさせてくれました。その時の牛丼はゆめこにとって一生涯忘れられない味になりました。
ゆめこは実家に訪ねてく来る子どもたちの前では、いつでも元気だよっていう顔をしていました。
子どもたちの優しさで心を温めながらも、まだ見ぬ未来に希望を持って生きるゆめこでした。
なぜ、ゆめこがそんなに強くなれるのかと言えば、のっぽの存在があったからです。 のっぽは、ゆめこの心の支えでした。
実家に居るゆめこは子どもたちに迷惑をかけたくない一心で必死に生きていました。そんなゆめこは母や姉たちと昔のように心の底から笑い合ったり打ち解け合ったりできないことに苦しんでいたのです。でもそれは自分が原因であることを十分自覚しているゆめこでしたから、姉たちがゆめこの自立を望んでいる限り、その望みに応えられる自分になることをゆめこは目標にしました。
しかし、そんな自分になろうといくら努力しても、得体のしれない不安がゆめこを度々襲い、仕事が見つからないまま時はいたずらに過ぎていき、辛い毎日をゆめこは送っていました。それでも、ゆめこは希望を捨てずに生きていました。
こんなに辛いのは今だけで、きっと皆で笑い合ったり、思いやったりできる日が来ると信じていたゆめこだったのです。
ゆめこはそんな日のために、わだかまりが残らないようにどんな時でも家族との、いがみ合いを避けました。だからゆめこは言葉を慎重に選びました。
それがゆめこに出来る精一杯の家族への優しさでした。
そんなゆめこの優しさはのっぽからもらったものでした。
ゆめこはのっぽに救われていました。いつ壊れてしまうか分からないようなゆめこの心を優しく包んでくれるのっぽは、いつしか、ゆめこにとって家族のような存在になっていったのです。
ゆめこは、その優しいのっぽにまた会えると信じていました。
《第29話》へつづく
ゆめこの初恋物語
文・ふじもとじゅんこ
《第29話》
のっぽから届いたメール
ゆめこは愛が欲しくて多くの曲を浴びるように聴きました。
なぜなら、歌を聴いていると、どの歌ものっぽがゆめこのために歌ってくれているように思えてならないゆめこだったからです。
ゆめこは歌を聴きながら涙を流すこともありました。
そんなある日、のっぽから夜の8時を回った頃、メールが届きました。
ゆめことのっぽはテレパシーで繋がっていたのです。
✉
[受信]20:11
今晩は
今、帰っている電車の中です
メールは読んでいます
あまり、いろいろなことを気にしないでそのままでいいから自分に自信を持っていろいろなことに挑戦してください
メールでも留守電でも話は聞いてあげるから
のっぽからのメールはゆめこを元気にしました。何事にも堪えていく気力に変えてくれたのです。そしてその夜、ゆめこは「おやすみなさい」のメールを送りました。
のっぽは直ぐに返信してくれました。
✉
[送信]
のっぽちゃん メールありがとう
のっぽちゃん 私がんばるから
のっぽちゃん おやすみなさい
✉
[受信]Re:
おやすみ
ゆめこは、のっぽの「おやすみ」の言葉で、その夜とても安らいだ気持ちで眠りにつくことができました。
《30話》につづく
30話は2024年3月20日公開予定です。
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28話・29話「ゆめこの初恋物語」のイメージソング6曲
コブクロ…
♪愛する人よ
♪NOTE
桑田佳祐さん…
♪ツナミ
HY…
♪Song for
ELT…
♪Time goes by
小田和正さん…
♪たしかなこと
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「ほっこりするね」
文・絵 ふじもとじゅんこ
ゆめこの家は、兵庫県の山間の集落にたたずむ、かやぶき屋根の一軒家。
お母さんと二人のお姉ちゃんと四人暮らしです。
この本は、ゆめこが三才から八才までのお話。
その間に起こるさまざまな出来事を通して、うれしいこと、悲しいこと、大切なことを学んでいきます。
只今発売中!
ゆめこシリーズ「想い出の走馬燈」
文・絵 ふじもとじゅんこ
著者朗読5時間CD-ROM付き
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この本には、本書「想い出の走馬燈」のほか、ゆめこシリーズの21作品を著者が朗読したCD-ROMが付いています。これはパソコンでは再生できますがCD、DVDデッキ等では再生できませんのでご了解願います。
この本は、家族の絆をテーマにした物語で著者である私の幼い頃から成人式を迎えるまでの愛溢れるエピソードがいっぱい詰まっています。
この一冊で私の著書である「空を飛べなかったツバメ」「ほっこりするね」の朗読を聴くことができます。
「ゆめこの初恋物語」を読んでくださった方が、この二冊の本を手に取っていただけることを願っています。