江戸時代、絵画の印刷は手摺木版に頼るしかなく、色数をたくさん使い、できるだけ写実的にしようとした傾向を感じます。写実的に描けば描くほどそれらが生きた人間から遠ざかっていく欠陥が見受けられます。夢二は対象をあまり写実的に表現しなかったことによってかえって物の本質をとらえ生き生きと表現できたのだと思います。夢二の作品と他の作品と比較した場合、幕とか布とか着物とかの素材感はどちらが優れて表現されているでしょうか。夢二意外はあまり写実的に表現しようとしたので、それらの素材感がそがれているように思います。


以下、何点か夢二の版画と他者のものとを並べてお目に掛けますので、その違いを皆さんの目でよみ取ってください。



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江戸時代の版画の方が彫りも摺りも技術的に優れていたように思われますが、大正時代のそれも決して劣っていたのではありません。むしろ優れていた面も多かったのではないでしょうか。だからこうして江戸時代の浮世絵の枠を超えた作品が生み出されたのだと思います。