婦人之友社から大正5年頃出された子供少年少女向けの雑誌のポスターを6点紹介させて頂きます。


その当時の子供たちにとって、月々届けられる「子供之友」や「新少女」などはあこがれのいっぱいつまった夢の贈り物だったことでしょう。テレビはなく映画なども限られたところでしか見られなかった時代、このポスターを見た子供たちの待ちに待ちに待った待ちわびたそんな様子が手に取るように私には感じられるのですが。





羽根突きをしている少女の真剣な眼差し。その枝に仲良くとまっている3羽の小鳥たちの目を追っていくとなんとも色々なものが見えてきそうです。小雪が降り出したところでしょうか。小鳥たちが見せてくれる色々な風景を想像することができ、本当に広い夢の世界が見えてくるようです。



ブランコに揺られる少女。眼が少女の心をのぞかせます。何かに心をとらわれている少女なのでしょうか。片一方の足のストッキングが下がって素肌が見えている、それさえ気がつかずに何を考えているのでしょうか。そしてブランコをつるしている綱を持つ手にも可愛らしい表情がありますね。



女の子はうしろ姿なので表情は分かりません。でも男の子の眼が、そしてポケットに手を突っ込んでいる態度に女の子はなんとなく怖気づいた、そんな表情が感じられます。それともどんな話をしているのでしょか。その会話の内容を想像しただけでも色々なことが広がってきます。



よく熊のぬいぐるみを抱いてうしろ向きの少女を描いています。下図のポスターは「子供之友」の新年号の広告なのでしょう。黒板に男の子が白墨で「新年号」と書いていますが、なんとも面白いアイデアではありませんか。そういえば夢二は次から次へと新しい工夫を考えた人です。そして今までの形式をどんどん破っていった夢二には新しさと夢があったのでしょう。



下図は花を摘む少女。その鼻を両手いっぱいに抱えているもう一人の幼女。一人は和服、もう一人は洋服。楽しい楽しい夢のようなひと時だったことでしょう。幼い子の表情に見て取れます。和服の少女の横顔もなんとも真剣な様子。子供たちはこんな花園にあこがれ、そんなところに遊ぶ自分たちを想像し夢をふくらませたことでしょう。こうしてポスターの中にもやはり夢二らしい表情が描かれているのです。